※画像はイメージです/PIXTA

世界中で同時発生的に起こっているインフレ。今後、インフレはどうなっていくのでしょうか? 本記事では、元IMF(国際通貨基金)エコノミストで東京都立大学経済経営学部教授の宮本弘曉氏による著書『一人負けニッポンの勝機 世界インフレと日本の未来』(ウェッジ社)から、インフレの動向について解説します。

世界経済の行方

今後、インフレはどうなっていくのでしょうか? 世界的に注目される予測のひとつが、国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」です(図表2)。

 

[図表2]IMFによるインフレ予測

 

IMFや世界銀行、経済協力開発機構(OECD)などの国際機関は、年に複数回、経済見通しを公表しています。IMFは、毎年4月と10月に経済見通しについて詳しい報告書を公表し、1月と7月にも成長率などの予測を改訂しています。

 

2023年7月の「世界経済見通し」(本書執筆時点で最新のもの)によると、世界のインフレ率は、2022年の8.7%から、2023年に6.8%へと鈍化し、2024年には5.2%へとさらに鈍化すると予測されています。ただし、これはコロナ禍前の2017〜19年の水準である約3.5%を上回っています。

 

先進国では、インフレ率が、2022年の7.3%から2023年には4.7%、2024年には2.8%に低下すると予測されています。

 

一方、新興市場国と発展途上国では、インフレ率は、2022年の9.8%から2023年には8.3%、2024年には6.8%に低下すると予想されています。なお、これは、パンデミック前の平均である4.9%を上回る見通しです。

 

インフレのピークは過ぎたが、完全な鎮静は2024年までかかる見通し

IMFは2022年7〜9月期に世界の総合インフレ率はピークに達したとの見解を示しています。世界的な需要低迷を受けた国際商品価格の下落と金融政策の引き締めによって需要が冷え込んだことにより、インフレが低下しつつあるということです。

 

ただし、完全な形で金融引き締めによるインフレ鎮静化は、2024年までは見られないと予測されています。

 

 

宮本 弘曉

東京都立大学経済経営学部

教授

 

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一人負けニッポンの勝機

一人負けニッポンの勝機

宮本 弘曉

ウェッジ社

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