(※画像はイメージです/PIXTA)

東京都知事の諮問機関である東京都税制調査会(都税調)は10月19日、都内のホテル等に宿泊する際の「宿泊税」の税負担水準を引き上げる方向性を示す報告書案をまとめました。宿泊料金の上昇や、「民泊」の増加等の実態を踏まえたものです。しかし、そこからは、宿泊税という制度が抱える問題点が浮かび上がります。税理士の黒瀧泰介氏(税理士法人グランサーズ共同代表)に聞きました。

◆宿泊客に過度の税負担を負わせる可能性がある

第二に、宿泊税の額によっては、宿泊客に過度の負担を負わせる可能性があるということです。

 

なぜならば、宿泊客は、宿泊税の有無にかかわらず、自治体の税収増加に貢献しているという実態があるからです。

 

すなわち、宿泊客はその自治体の域内で必ず消費活動を行います。何らかの商品を購入したりサービスを利用したりして対価を支払うことによって、地元の業者の売上に貢献しています。そして、地元の業者の売上が増加すれば、自治体の税収も増加することになります。

 

したがって、実質をとらえると、間接的にではありますが、自治体に対し相応の税収をもたらしていることになります。

 

実際、2022年(令和4年)の「訪都旅行者数等の実態調査結果」の結果によれば、同年の観光消費額は総額5兆327億4,300万円、都内在住者を除いても2兆9,133億6,100万円です。外国からの宿泊客がまだ新型コロナウイルス禍以前の水準にまで回復していなかったことを考慮すれば、本来はさらに大きな額になるはずです。

 

もし、宿泊税の負担率を引き上げるとすれば、宿泊客がもたらす「実質的な税収への貢献」をどのように考慮すべきかが問題となります。

 

東京都税制調査会が公表した今回の提言案は、宿泊税の制度内容を現実に即したものに改めるという意義があります。この動きは、東京都にとどまらず、宿泊税を導入している他の自治体や、現在導入を検討している自治体に影響を及ぼす可能性が高いといえます。

 

しかし他方で、制度設計によっては、「法定外目的税」という性質が希薄になる可能性や、宿泊客が過度の負担を負う可能性があります。今後、議論を深めていくにあたっては、それらの課題に十分に配慮して慎重に検討を行うことが求められます。

 

 

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ 共同代表

公認会計士

税理士

 

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