「老後資金2000万円」本当に貯めているのか?実情は…
***************
夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300万円~2,000万円になる。
この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
***************
遡ること4年前、老後2,000万円問題が世間を席巻しました(上記が実際に発表された文章です)。
本件詳しく見ていくと、高齢夫婦無職世帯の収入が「20万9,198万円」の一方、実支出が「26万3,718円」であり、月5.5万円の赤字が発生している状況を根拠とし(金融審議会「市場ワーキング・グループ」第21回資料掲載)、「自身が保有する金融資産により補填する」なら1,300万円~2,000万円が必要……と結論づけています。
その金融資産ですが、総世帯の平均残高は「1,279.7万円」です。ただ分布図を見ると、最多は「150万円未満」(27.4%)であり、中央値が「650万円」。一部のお金持ちが平均値を底上げしている現状が見て取れます(2019年『全国家計構造調査』)。
老後資金を考えるにあたり、世帯主が60歳以上のデータを見ていくと、60歳~64歳の金融資産残高平均「1948万3000円」、65歳~69歳「1850万9000円」、70歳代「1734万2000円」、80歳以上「1619万4000円」となっています。
金融資産の構成比を見ると、どの年代でも「預貯金」が60%超え。「生命保険など」は14%~20%を推移しており、「有価証券」も16%~17%となっています。貯金神話が根強い日本。つみたてNISAをはじめとした投資信託が人気を集めていますが、いまだ一歩を踏み出せない……という人は少なくありません。
なお同調査では世帯主が65歳以上の世帯について、金融資産残高平均を都道府県別に調査しています。