経済評論家の渡邉哲也氏は著書『世界と人間を操る お金の学校』(ワニブックス)の中で、お金について「国家の信用=国力で成り立っている共同幻想」だと言います。これは一体どういう話なのでしょうか?その説明を本書から一部抜粋して紹介します。

信用があれば通貨はいらない?

信用があれば通貨として成り立ちます。信用を英語でいうと「クレジット」。クレジット・カードはお客の信用をもとにして生まれた決済サービスです。

 

これさえあれば手持ちの現金がなくても後払いを約束して買い物ができます。後払いといっても紐づいた預金の数字が減るだけで直接現金のやり取りをするわけではありません。

 

ここに注目すれば、通貨というものがなくても決済が成立していることがわかります。

 

ほかにも口座預金と接続したデビット・カードや、チャージ(入金)して利用するスイカパスモ、エディのような便利な電子マネーも普及しています。

 

実際、企業間の取引では、ずっと以前から現金での決済はありませんでした。すべて銀行口座間のやり取りで、たとえばA社とB社が同じC銀行に口座を持っているなら、A社からB社に100万円支払うときは、C銀行の帳簿上で、A社の預金残高を100万円減らすかわりに、B社の預金残高を100万円増やすだけで済みます。

 

現金のやり取りを介さないという意味では企業間ではとっくに電子決済が行われていたのです。

 

程度の違いはあるものの本質的には技術の進歩によって現金のやり取り以外の決済が拡大しているといえます。硬貨や紙幣といったモノとしての通貨がなくてもいい時代がすぐくる可能性があるのです。

 

ポイント

・通貨には①価値尺度、②交換・決済手段、③価値保存の3機能がある

・通貨は国家の「信用=国力」によって発行されている

 

渡邉 哲也
作家・経済評論家

※本連載は、渡邉哲也氏による著書『世界と人間を操る お金の学校』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

世界と人間を操る お金の学校

世界と人間を操る お金の学校

渡邉 哲也

ワニブックス

教えて渡邉先生。 学校や、社会はもちろん家庭でも、絶対に教えない、剥き出しのお金の真実。 裏も表も知り尽くした、お金の達人に聞くぶっちゃけマネー論。 Q&Aでわかりやすく解説 Q そもそもお金ってなに? A 国家…

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