経済評論家の渡邉哲也氏は著書『世界と人間を操る お金の学校』(ワニブックス)の中で、デフレとインフレについて「物価が継続的に上がるのがインフレ、下がり続けるのがデフレ」と言います。これは一体どういう話なのでしょうか?その説明を本書から一部抜粋して紹介します。

物価ー需要と供給のバランス

需要と供給のバランスにおける「物価」の問題も、マクロ経済では「お金の量」と「モノの量」で単純化することができます。

 

つまり、カネの量に比べモノの量が多いと物価は下がる。反対に、カネの量に比べモノの量が多いと物価は上がる、ということです。

 

たとえば、モノ100個とカネ100枚で釣り合っているとき、モノの量が300個になり、カネが100枚のままであるとすれば物価は下がり、反対にモノ100個に対してカネが300枚になると物価は上がるわけです。

 

その物価が「継続的」に上がり続けることをインフレ、反対に「継続的」に下がり続けることをデフレといいます。

 

デフレという現象をごく簡単にいうと、昨日の100円が今日は110円に価値が上がることをいいます。

 

つまり消費者にとって10円お得になった分、商品を売っている企業にとってはそのままマイナスになることを意味します。つまり企業の利益が10円下がってしまうのです。

 

企業の利益が下がれば、従業員の給料は上がらないし、最悪のケースでは従業員はリストラにあうかもしれません。そうなると、消費者は買い物を控えるようになり、お金を貯蓄にまわします。

 

消費が減れば企業の利益はますます下がる、という悪循環に陥ることが「デフレスパイラル」です。これがバブル崩壊後の日本を悩ませ続けてきた長期デフレの正体です。

 

反対にインフレとは、モノの値段が上がり続ける現象です。教科書で習ったように第1次世界大戦後に起きたドイツの「ハイパーインフレ」が有名です。

 

当時ドイツ・マルクは、わずか一年の間に対ドルレートが7ケタ以上も下落しました。今の状況にあてはめると、1ドルを約130円で交換できていたのが、一年後には1億3000万円ださないと1ドルと交換できないほど通貨の信用が暴落したのです。

 

消費マインドということでいえば、モノの値段が低下し続けるデフレ下では、「今、モノを買おう」という意欲が湧きづらいのですが、モノの値段が上昇し始めてインフレ基調になると、「安いうちに買っておこう」という気持ちになります。

 

「景気は気から」といわれるように、数値には表しにくい人間の「マインド」がお金の流れに影響を与えることも、見逃せないファクターです。

 

ポイント

・物価が継続的に下がり続けることをデフレ、上がり続けることをインフレという

・日本は30年以上デフレ経済に苦しめられてきた

・デフレは消費マインドも冷却させる

 

渡邉 哲也
作家・経済評論家

※本連載は、渡邉哲也氏による著書『世界と人間を操る お金の学校』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

世界と人間を操る お金の学校

世界と人間を操る お金の学校

渡邉 哲也

ワニブックス

教えて渡邉先生。 学校や、社会はもちろん家庭でも、絶対に教えない、剥き出しのお金の真実。 裏も表も知り尽くした、お金の達人に聞くぶっちゃけマネー論。 Q&Aでわかりやすく解説 Q そもそもお金ってなに? A 国家…

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