需要と供給
いくら銀行の資金量が豊富でも、借りたいと思う人々の需要がなければ、銀行業は成り立ちません。したがって金利は貸し手側の「資金量=供給」と借り手側の「ニーズ=需要」のバランスで決まるのです。
同様に、商品の値段(価格)も「市場における需要と供給のバランスで自動的に決まる」というのが、教科書で習った有名な「神の見えざる手」です。
そのメカニズムを考えてみましょう。需要とは、ある商品やサービスの購入を望む人々の数です。供給とは、ある商品やサービスを販売しようとする企業の数です。
需要サイドの消費者は、なるべく安く多く買いたいと思う傾向があります。一方、供給サイドの生産者はなるべく高く多く売って利益を得たいと考えます。つまり、価格において消費者と生産者が求めるものは真逆なのです。
消費者は安く買いたいと思う半面、その商品の数が少なければ高くても仕方がないと思います。生産者はライバル社が多いと商品価格を下げて売り上げを確保せざるをえなくなります。つまり、ある商品の需要の量と供給の量のちょうどいいバランスが価格を決めるのです。
そのちょうどいいモノの値段を「市場価格」といいます。
価格の上下も需要と供給
モノの価格の上下も需要と供給の関係で説明できます。価格が上昇する要因として次の2つの可能性が考えられます(両方ある場合も)。
一つは需要の減少。もう一つは供給の過剰です。つまり需要サイドと供給サイドの2つの要因があるということです。
需要サイドの理由としては、テレビや雑誌で紹介されたことで急激に需要が伸びれば品薄になり、価格が上がる可能性があります。また供給サイドの理由としては、原材料やエネルギー価格が上昇することにより、値上がりしたのかもしれません。
いずれにせよ供給に比べ需要が大きくなる=「需要<供給」だと値上がりします。反対に需要が増大し、供給が減少する「需要>供給」だと値下がりするのです。
ポイント
・需要と供給のバランスで決まるのが「市場価格」
・値上がり値下がりも需要と供給が影響
渡邉 哲也
作家・経済評論家