今回の相談者は、妻・息子とともに会社を経営する68歳の社長。息子に会社を引き継ぐにあたり、小規模な法人ゆえ「自社株問題」はそれほど重要視していませんでしたが、話を聞いてみると問題点が浮かび上がってきました。本稿では株式会社FPイノベーションの代表取締役・奥田雅也氏が、小規模法人によくみられる事業承継と自社株問題について解説します。
事業承継に影響を及ぼす“親族間の感情問題”
筆者はその後、自社株と自宅の引き継ぎ方について、将来の火種を残さないための対策は幾つかあることを伝えました。
今後この社長夫婦は対策を実行していくフェーズに入る訳ですが、こうした法人は無数にあるのではないか、と感じさせられる一件でした。
法人の規模が一定以上で、かつ財産権としての自社株評価が高額になっている経営者の多くは、自社株問題を認識し、対策を講じているケースは多いと思います。そのような法人には、銀行や証券会社、保険会社だけでなく税理士などがすでに情報提供・助言をしていることでしょう。
ですが今回みたような、同族法人でかつ規模が小さい場合、アドバイザーがついているケースは稀。たとえアドバイザーがついていたとしても、問題の本質を見落としてしまっているケースは多いのかもしれません。
事業承継に関連する諸問題は、事業規模の大小や財産の多寡にかかわらず、親族間の感情問題に大きく影響されます。このような定量化できないポイントも押さえた対策が不可欠なのです。
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株式会社FPイノベーション
代表取締役
NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会理事
大学卒業後、中堅損保の新卒研修生として保険業界へ。以後は大手会計事務所の保険専任担当者、大手保険代理店の法人保険専門担当を経て、2011年に独立。事業(医業)経営に関する保険活用術に精通し、過去20数年間で保険提案した法人数は、上場企業から零細企業・医療法人含め3,000社以上の実績と取扱契約件数は20,000件以上を誇る。現在は、大阪を本拠地としてコンサルティング業務・保険募集を行う傍らで、業界紙・本などの執筆を行う。著書「開業医顧客獲得術」「令和時代の法人保険販売」など多数あり。
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