今まさに、AI革命前夜。私たち人間にできて、AIにできないことは何なのか? 脳科学者・茂木健一郎氏が出した「一つの結論」とは?

今まさに、AI革命前夜。私たち人間にできて、AIにできないことは何なのか? 脳科学者・茂木健一郎氏が出した「一つの結論」とは?
(画像はイメージです/PIXTA)

すさまじい勢いで進化し続けるAIは、あっという間に人間の能力を凌駕し、ビジネス領域を侵食していきます。そのような過酷な状況下、AIに仕事を奪われることなく、自身の能力を最大級に発揮して生き残るにはどうしたらいいのでしょうか。脳科学者として活躍する、茂木健一郎氏が解説します。※本記事は、茂木健一郎氏の書籍『運動脳の鍛え方』(リベラル新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

運動嫌いな人でも「脳を活性化」する方法はある

私自身、昨年還暦を迎えましたが、依然として私の脳は退化するどころか日々進化しているなという実感さえあります。

 

脳の研究をしているから? いいえ、違います。記憶をたどってみると、やはり少年時代からの運動習慣が非常に大きかったと、いまなら断言できます。

 

私は小学校の低学年からずっと学校の外周をランニングしていましたが、それと並行するかのように学校の成績もどんどん上がっていきました。中学校や高校に上がったころにはすでに学年トップの成績で、何の苦労もなく東大に合格しました。

 

そのときはまだ脳科学の世界に足を踏み入れていたわけではありませんが、いまになって思い返せば、そうした少年時代から続けていたランニングによって、勉強に必至るまで続けています。早朝のランニングを日課にしている私が得たもの、それは私の仕事に必要な能力の数々につながっているのです。

 

記憶力については、テクノロジーの発展によってあまり必要性がなくなりましたが、いまの時代に求められる新しい集中法や思考法、そしてひらめきやアイデアといった創造力、あるいは直観といった判断力など、実に多くのビジネス能力が、幼少期から続けている運動によってもたらされているといっても過言ではありません。

 

もちろん、それだけではありません。運動によってメンタルコントロールも容易になり、まったくストレスのない絶好調な毎日を送ることができています。

 

このように、運動がもたらす脳の効用は数えきれないほどあるわけですが、それでもどうしても運動習慣が身につかない、定期的な運動を始めるのはハードルが高いと思っている人でも悲観する必要はまったくありません。

 

なぜなら、ここで私が申し上げたいのは、「たとえ運動が嫌いでも、たとえ続かなくても、運動を再定義して脳を活性化できる」ということです。

 

【運動の再定義】

 

●「ルーティン」を取り入れて新しい行動に取り組む

●「アニマルスピリッツ」を持ってチャレンジする

●自分への「無茶ぶり」をしてどんなことにもトップスピードで取り組む

●「ゲーミフィケーション」を取り入れて仕事も学びも勝ち負けにこだわる

●「エブエブ」モードであらゆる場所であらゆる仕事をこなす

●何事にもベストを尽くして確実に何かを積み上げていく

 

このように運動を再定義することで、誰もが脳を活性化できるわけですが、その重要キーワードとなるのが、「脳のモビリティ」というものです。

 

モビリティとは「動きやすさ」「可動性」「移動性」「流動性」などといった意味を持っていますが、脳科学の知見から私が導き出したモビリティとは、「脳を活性化させて、社会の中でどう動いて、誰と会って、何を計画し、何を実行するのか」という能力のこと。

 

この脳のモビリティを高めることで脳に効果的な運動効果を与え、活性化させていくのが狙いです。なぜなら、いまの時代は脳のモビリティを高めることがAIに負けない最強の脳を手に入れるということにつながっていくからです。

 

 

茂木 健一郎
理学博士/脳科学者

 

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※本連載は、茂木 健一郎氏の書籍『運動脳の鍛え方』(リベラル新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

運動脳の鍛え方

運動脳の鍛え方

茂木 健一郎

リベラル社

運動するほど脳が働くようになる!! 変革の時代を「運動脳」で乗り切れ。 脳の機能を高めるのは、運動がすべてだった。 運動するだけで学力・集中力・記憶力・創造力などの脳の機能が大幅にアップ。 運動は今世界で活躍す…

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