悠々自適な老後のはずが…
現在70歳の元医師Aさんは地方都市に在住、5歳年下の妻と娘の3人暮らしです。医学部を卒業後大学病院に就職し、勤務しながら博士課程も取得したAさんは、公職も兼ね最後は大病院の院長も務めました。
もともと趣味が多く、自由にお金を使っていたAさん。貯蓄はほとんどありませんでしたが、現在の妻と出会い43歳のときに結婚しました。その後は妻が家計を預かり貯蓄を開始、60歳で院長職を退く際には退職金はなかったものの、自宅とは別に4,000万円の資産がありました。
定年退職後も非常勤で働きながら、講演などの活動も行っていたAさん。娘は大学卒業後、地元に戻り、大手企業に勤めていましたから、これからは悠々自適の暮らしが送れるだろうと思っていた矢先、持病の状態が悪化し、68歳で引退することとなりました。
思っていたよりも引退時期が早くなったと感じていたものの、まとまった年金収入もありましたので、これといった憂いはありませんでした。しかし、その1年後、これからのAさん夫婦の老後生活の行く末も覆しかねない一人娘の思わぬ仰天行動に直面することに……。
妻が気づいた、26歳の一人娘がはまったもの
娘の異変に最初に気づいたのはAさんの妻でした。娘宛ての郵便物の中に、クレジットカード会社からの見慣れない手紙が来ていることに気がつきました。娘宛てのものだから、と思いつつも、なんとなく胸騒ぎがして開封した妻の目に飛び込んできたのは「ご利用残高合計約150万円」の文字です。
手紙はクレジットカード会社からの督促状だったのです。驚いた妻は動転しながらもAさんに相談、娘の帰宅後、詳しく尋ねることとしました。
「お父さん、300万円貸して……」
Aさんは絶句しました。妻が娘を問いただし、話を聞くと、妻が発見したクレジットカードのほかに、あと1社クレジットカードの利用があり、カードローン1社からの借入もあることがわかりました。3社分を合わせると残高は300万円にも上ります。
「本当にあのかわいい私の娘が300万円ものお金を使ったのか……」
Aさんにはとても信じられませんでした。なぜなら娘はブランド品が好きなわけではありませんし、特に部屋の中にものがあふれているというわけではなかったためです。話を聞くと、リボ払いを利用しており、推し活をするなかで遠征費や投げ銭がかさみ、いつの間にか残高が増えていったと言います。
Aさん夫婦は頭を抱えましたが、娘をこのまま放っておけば借入がもっと膨らみかねません。幸い娘は最近仕事も順調なようです。結局Aさん夫婦が肩代わりし、娘の借入を完済しました。
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