「経費が多すぎる人」は狙われやすい
国税庁のHPでは、税務調査の結果、多く追徴課税がとれた業種のトップ10を公表しています。ここでは最新のランキングを見ていきましょう([図表1]参照)。
中でも、最も追徴課税が生じた上位5業種は以下の通りです。
1位 経営コンサルタント
2位 システムエンジニア
3位 ブリーダー
4位 商工業デザイナー
5位 不動産代理仲介
これを見て気がつくと思うのですが、1位の経営コンサルタント、2位のエンジニアともに基本的に「仕入れ」という概念がない業種ですよね。つまり業種によって「この程度が経費だよね」という基準値があるので、そこを超えるとかなり狙われやすくなるのです。
たとえば、システムエンジニアの方の税務調査をサポートする際、よくこんな状況になっています。
税務署の気持ちになって想像してみてください。100枚の申告書があります。全員売上は「700万円」です。そして、99枚は利益が「550万円」です。残り1枚だけが利益が「300万円」です。「この300万円の申告書、怪しい!」となりませんか? こういう視点で税務署はチェックしています([図表2]参照)。
ただし、システムエンジニアでも、本当に経費を多く使う方もいるかもしれません。本当に経費を多く使った結果、利益が300万円だということであれば、税務調査できちんと説明していけば、追加で払う税金は0円でちゃんと税務調査は終わりますのでご安心ください。
また、[図表1]では1位が「経営コンサルタント」、2位が「システムエンジニア」となっていましたが、コロナ以前は常に「風俗系」や「キャバクラ」といった業種が上位にランキングされていました。
しかし、コロナ緊急事態宣言により営業停止していた期間で売上も減ってしまったことからコロナ期間中は調査対象から外されていることがわかります。
このように社会の変化によって調査先も変化していっています。
永江 将典
税理士法人エール
公認会計士・税理士