ガソリン税の「トリガー条項」との関係は?
期限付きの制度であることからわかるように、政府は補助金をあくまでも一時的な措置と位置付けています。これに対し、ガソリン税の「トリガー条項」との関係が指摘されています。
ガソリン税は1リットルあたり53.8円課税されており、ガソリン価格に含まれています。ガソリン税の税率は本来1リットルあたり28.7円ですが(本則税率)、1974年以降、1リットルあたり53.8円の「特例税率」が適用され、それが現在まで維持されています。
「トリガー条項」は、ガソリン価格が高騰した場合に、特例税率の適用が自動的にストップし、本則税率の1リットルあたり28.7円に引き下げられるというルールで、2010年に設けられたものです。
本来、連続する3ヵ月の平均のガソリン価格が1リットル160円を超えたら、自動的にトリガー条項が発動することになっています。もし発動すれば、特例税率と本則税率との差額、つまり1リットルあたり25.1円が値引きされることになっています。
しかし、実際には、トリガー条項は、今まで一度も発動したことがありません。なぜかというと、2011年3月に発生した東日本大震災の影響で、復興財源を確保しなければならないということで、法律によって運用が凍結されたのです。
実は、政府は、ガソリン価格の高騰を受け、当初、トリガー条項の凍結を解除し、発動させることも検討していました。しかし、ガソリン税が国にとっても地方公共団体にとっても重要な税収源となっていることから、トリガー条項の凍結解除ではなく、補助金という形で対応することにしたという経緯があります。
とはいえ、既に補助金の額は当初の額(1リットルあたり5円が上限)から大きく膨れ上がり、トリガー条項が発動した場合の値下げ額(1リットルあたり25.1円)をも上回っています。
もしもガソリン価格の高騰がこのまま長期化した場合、補助金で対応し続けるのか、トリガー条項で対応するのか、という議論が出てくるのは避けられません。
すなわち、昨今のガソリン価格の高騰は、世界的なエネルギー価格の高騰に加え、記録的な円安も関係しています。前者の主な要因はロシアのウクライナ侵攻であり、後者の主な要因は日本と諸外国との金利差が開いてしまっていることです。いずれも、直ちに解消される見込みは乏しく、ガソリン価格の高騰が長期化する可能性は十分に考えられます。
ガソリン価格の高騰が続けば、国民の生活は大きな打撃を受けることになります。したがって、ガソリン価格を抑えるための政策はきわめて重要です。ガソリン税のトリガー条項で対応するのか、補助金等の給付によって対応するのか、それとも他の方法を用いるのか。財源の問題も含め、国会・政府はきわめて難しい判断を迫られています。
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