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病気などが原因で働くことが難しいため生活保護を受給したいが、借金が残っているので生活保護の受給が認められるか不安──。本記事では、このような借金が残っている場合の生活保護について、東京司法書士会の寺島能史司法書士監修のもと解説します。

生活保護費から借金を返済できる?

まず、借金が残っていても、生活保護を受給することは可能です。

 

生活保護の受給要件には、

 

①資産の活用(預貯金や生活に利用していない資産を売却)

 

②能力の活用(働くことが可能ならその能力に応じて働く)

 

③あらゆるものの活用(可能であれば年金や手当などほかの制度をまずは活用する)


という要件があり、これら三つを活用しても最低限度の生活を維持することができないのであれば、生活保護の対象になります。生活保護を受給の可否に借金の有無は関係ありません。

生活保護費から借金の返済はできない!

借金が残っていても生活保護を受給できるといっても、生活保護費から借金を返済することは認められません。後述しますが、生活保護費から借金を返済すると大きなデメリットが生じます。

そもそも生活保護とは?

生活保護は、あくまで最低限度の生活を維持するための制度です。このような制度趣旨から、生活保護費から借金を返済することはもちろん、生活保護者が新たに借金することも認められません。

生活保護を受けていたら借金は減るのか

生活保護を受けても借金は減らない

生活保護費から借金を返済することは認められておらず、また、生活保護には受給者の借金を減らすような制度も存在しません。そのため、生活保護を受けても借金はそのまま残ってしまいます。

 

むしろ、借金は増えていくこともあります。生活保護費から借金を返済できない以上、何も手を打たなければ借金を放置することになりますが、借金には利息があるのが通常で、元本が存在する限り利息は膨らみ続けます。

 

このような事態にならないため、後述しますが、早い段階でケースワーカーや弁護士・司法書士に相談をしてください。

借金を返済せず帳消しにするには「自己破産」が必要

多額の借金が残っている場合は、自己破産が必要です。借金を返済しないまま放置すると、利息が膨らんで負担が重くなっていきます。場合によっては債権者によって裁判上の手続きを取られ、差し押さえや一括請求を受ける恐れも出てきます。

 

自己破産が認められれば借金の返済をする必要がなくなるため、生活保護を受給しながら、自身で生活を立て直すことに注力することができます。ただし、自己破産は資格制限により就けない業種があること、高額な財産を処分する必要がある等、デメリットがあることは理解しておく必要があります。

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