(※画像はイメージです/PIXTA)

アメリカで最近「利上げ」が相次いで行われています。それに伴い、アメリカ国債の年利回りも上昇しています。10年債の利回りは4%台後半にまで達しており、有力な投資先として注目を集めています。ただし、アメリカ国債は特殊な性質をもつ金融商品であり、もし投資する場合には注意すべき点があります。本記事で解説します。

アメリカ国債への投資で警戒すべきリスク

ただし、アメリカ国債にもリスクがあり、それを十分に警戒する必要があります。特に、以下の3つのリスクがあることは、留意しておく必要があります。

 

【アメリカ国債投資のリスク】

・償還時に「円高」になっている場合に損をする可能性がある(為替リスク)

・途中で売却すると損をする可能性がある(途中売却リスク)

・国が破綻したらお金が返ってこない可能性がある(信用リスク)

 

以下、それぞれのリスクの中身と、もしあればその対処法について説明します。

 

◆償還時に「円高」になっている場合に損をする可能性がある(為替リスク)

まず、償還時に「円高」になっている場合、損をする可能性があるということです。「為替リスク」といわれます。

 

現在、1ドル=140円台後半の記録的な「円安ドル高」が続いています。1ドル=148円とすると、購入価格・額面価額が1,000ドルのアメリカ国債(利付債)に投資するには14万8,000円必要です。ところが、10年後に償還期間が満了して1,000ドル返ってきたとき、もしも円相場が1ドル=100円になっていたら、日本円で10万円しか受け取れないことになります。

 

もちろん、償還期間中に受け取った利金の利率とその都度の円相場にもよりますが、投資した元本が為替変動によって大きく減ってしまうと痛手です。

 

他方で、もしも10年後に円安が今よりも進行していた場合には逆に利益を得ることになります。

 

どちらに転ぶかは、誰にもわかりません。為替の変動を予測することは不可能だからです。たとえば、つい数年前に、円安がここまで進行することは誰も予想していなかったはずです。「これから円高はさらに進むだろう」と話していた人もいたくらいです。しかし、現状では円安が進み、ドルの資産を保有していた人は、結果として資産を増やしています。

 

したがって、アメリカ国債への投資は、あくまでも資産の分散の一環として行うことをおすすめします。

 

◆途中で売却すると損をする可能性がある(途中売却リスク)

アメリカ国債は償還期間中でも市場で売却して換金することができます。しかし、そのときの市場価格が購入時より下落していた場合、損をする可能性があります。

 

それを防ぐには、損をするタイミングで売却を迫られる状態に陥らないことが大切です。つまり、投資する際には、当面使う予定のない余剰資金で行うべきだといえます。

 

◆国が破綻したらお金が返ってこない可能性がある(信用リスク)

最後に、アメリカという国家が破綻した場合、お金が返ってこない可能性があるというリスクです。「信用リスク」といわれます。

 

現在、アメリカは世界最大の強国であり、政治的にも経済的にも最も安定しています。したがって、信用リスクはきわめて低いといえます。

 

ただし、何ごとも絶対ということはありえません。また、現在、「S&P」によるアメリカ国債の格付けは「AA+」であり、最高位の「AAA」のドイツ等より1段階下であることは、一応留意しておく必要があります。なお、日本の国債の格付けは「A+」であり、アジアでは韓国(AA)より1ランク下、中国と同格です。

 

このように、アメリカ国債は、利回りの高さが魅力的ですが、金融商品としてのしくみは必ずしもわかりやすいとはいえません。特に、「金利」と「債券価格」「利回り」の関係は、直感的にイメージしにくいものなので、しっかり理解しておく必要があります。

 

また、「為替リスク」「途中売却のリスク」「信用リスク」の3つのリスクについては注意しなければなりません。とりわけ「為替リスク」は、現時点で記録的な「円安ドル高」の下にあることからすれば、最も深刻なリスクであるといえます。

 

アメリカ国債への投資は、利回りの高さから安定的な利益を得られる可能性がある反面、為替変動等によって損をする可能性も否定できません。あくまでもリスク分散の一つとして、余剰資金で行うことをおすすめします。

 

 

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

>>>12/10(火)LIVE配信

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?

 

【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは

 

【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討

 

【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成

 

【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える

 

 

本メディア並びに本メディアの記事は、投資を促すことや、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、株式会社幻冬舎ゴールドオンライン、幻冬舎グループは、本メディアの情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録