(※写真はイメージです/PIXTA)

YouTube等で有名なインフルエンサーのなかには、自動車保険や火災保険等の例外を除いて「保険はいらない」という持論を展開している人がいます。その主な理由は「日本の社会保障制度は充実している」というものです。しかし、保険が必要かどうかを判断するうえで考えるべきポイントはほかにもあり、それらを見過ごすと取り返しのつかないことになる危険性があります。本記事ではそれらのポイントについて解説します。

「保険はいらない」といわれる理由

「投資・お金系」のYouTuber等の著名インフルエンサーによる「保険はいらない」という言説の主な論拠は、主に以下の2つです。

 

・日本では死亡した場合や働けなくなった場合の公的保障が充実している

・保険はコストパフォーマンスが悪い

 

これらの理由から、「保険に入らずその分を貯蓄に回したほうがいい」としているのです。

 

◆理由1|日本では公的保障が充実している

第一に、日本では死亡した場合や働けなくなった場合の公的保障が充実しているということです。

 

まず、医療費については、健康保険制度が完備されており、自己負担額が基本的に「3割負担」ですみます。それに加え、1ヵ月あたりの自己負担額の上限を定めた「高額療養費制度」もあります。

 

たとえば、1ヵ月あたりの治療費が「150万円」(3割負担で45万円)だった場合、報酬月額が「27万円~51万5,000円未満」の人ならば、高額療養費制度により自己負担額は9万円ちょっとで済みます。

 

また、働けなくなった場合には、サラリーマン(会社員・公務員)であれば給与の約3分の2を最大1年6ヵ月間受け取れる「傷病手当金」の制度があります。それに加え、すべての人のために「障害年金」の制度もあります。さらに、亡くなった場合には「遺族年金」の制度もあります。

 

◆理由2|保険はコストパフォーマンスが悪い

第二に、保険はコストパフォーマンスが悪いということです。これは、主に、「医療保険」を念頭に置いているものとみられます。

 

どういうことかというと、典型的な医療保険の場合、メインの保障(主契約)は「入院給付金」と「手術給付金」です。

 

【医療保険のメインの保障】

・入院給付金:入院したら「1日●円」を受け取れる

・手術給付金:手術を受けたら「●万円」等のまとまったお金を受け取れる

 

しかし、前述のように、健康保険制度の下、そもそも医療費の自己負担額は限られています。また、近年、入院日数は減少傾向にあり、在宅療養やリハビリの比重が高まっています。さらに、以前と比べると手術を受けなくて済むケースも増えています。したがって、保険としてコストパフォーマンスが低いというのです。

 

これらの言説には、納得できる点もあります。しかし、保険の要否を判断する際に必要な視点は他にもあります。

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定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ

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和泉 昭子

KADOKAWA

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