(※写真はイメージです/PIXTA)

YouTube等で有名なインフルエンサーのなかには、自動車保険や火災保険等の例外を除いて「保険はいらない」という持論を展開している人がいます。その主な理由は「日本の社会保障制度は充実している」というものです。しかし、保険が必要かどうかを判断するうえで考えるべきポイントはほかにもあり、それらを見過ごすと取り返しのつかないことになる危険性があります。本記事ではそれらのポイントについて解説します。

◆病気等で治療が長期化したときの医療費の自己負担額・生活費等

第三に、病気等で治療が長期化したときの医療費の自己負担額・生活費等の問題です。

 

三大疾病、特に「がん」は、治療が長期化する傾向があり、治療費の負担と収入の減少が同時に発生する可能性があります。医療費については、1ヵ月あたりの自己負担額が「高額療養費制度」によって抑えられるとはいっても、長期化すると、自己負担額がかさんでいきます。また、治療で仕事を休むことになれば生活費も不足することになります。

 

そこで、治療が長期化するリスクに備え、「がん保険」や「三大疾病保険」といった保険に加入することが考えられます。診断された場合や所定の状態になった場合にまとまった額の「一時金」を受け取れるタイプや、特定の治療を受けたらそのたびに一定額を受け取れるタイプの保険があります。

 

それらの保険は、いったん保険金の受取条件をみたしたら、それまで支払った保険料の総額よりも多くの額を受け取れる可能性が高いものです。その意味では、医療保険よりもコストパフォーマンスがいいといえます。

 

保険の営業マンやFPでも、医療保険には加入していなくても、これらの保険には加入しているという人も多いのです。

 

なお、医療保険のなかにも、がん、心疾患、脳血管疾患といった「三大疾病」で所定の状態になった場合にまとまった額の「一時金」を受け取れるものがあります。基本の保障である「入院給付金」と「手術給付金」を最小限に抑えて、それらの特約を充実させるという方法もあります。

 

このように、保険は、社会保障制度では賄えないところをカバーする機能を果たします。インフルエンサーの「保険はいらない」という言説には一面の真理も含まれていますが、「個人の感想」という側面も大きいのです。保険に無駄に入っているケースが多いのは事実ですが、本記事で解説したことを念頭において、本当に必要だと考えられる保障を無駄なく備えることを考えていただきたいと思います。

 

 

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和泉 昭子

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