都市圏から離れるほど、購入者は高利回りを求める
空室率は、物件の「利回り」にも影響を与えます。利回りは「年間の家賃収入÷購入金額」で算出します。その数字が高ければ高いほど、有利に売却を進めることができます。
なぜなら物件購入検討者は、少しでも利回りの高い物件を買いたがるものだからです。不動産投資家がインターネットで物件を検索するときには、多くは「利回り10%以上」という基準で探します。10%台に乗るか乗らないか、その違いは大きいのです。たとえ1%の違いであっても、より高利回りの物件のほうが売りやすくなります。
求められる利回りは、地域によっても変わります。都内であれば8%で十分とされるエリアもありますし、地方では12~15%ないといけないという人もいます。さらに田舎のほうになれば、もっと高い利回りが好まれます。
都市圏から離れるほど高利回りが求められる理由は、空室リスクにあります。地方は都市圏より人口が少ないため、物件に住んでもらえる可能性が低くなります。それをカバーするため、利回りが追求されるわけです。
空室を埋めるために「家賃を下げる」のは悪手
空室率の低下は、年間の家賃収入に極めて深刻な影響を与えます。ですから空室が続くくらいなら、家賃を1000円でも2000円でも安くして埋めたほうがいいと考える不動産オーナーも多いのです。
しかし家賃の下落は同時に、利回りの低下に直結しています。利回りが下がれば、物件の価値も下がってしまいます。ですから売却を検討している場合には、この選択はあまりお勧めできません。
物件を高く売るためには、数年かけて徐々に家賃を上げ、利回りを高くしていく必要があります。月々わずか1000円の家賃の差が、利回りに大きく影響してきます。家賃設定を低くすることで空室を埋めようとする行為は、先々のことを考えない、その場しのぎの改善策といっても過言ではありません。