「売却のための満室」とは何か?
高値売却は、優先順位順に、以下の手順で進めていきます。
①空室を埋めて家賃を高く取る
②細かい部分に手を入れてキレイにする
③住んでいる入居者を出さない
④大規模修繕
満室のまま家賃をキープしつつ、リフォームを行い売りに出す。これが高値売却を実現するための作戦です。そしてまず取り組むべきことは、空室改善です。
不動産オーナーが売却を検討する理由のひとつに、空室が続いて経営状況が悪化していることが挙げられます。しかし売却を有利に進めるために、空室改善は避けて通れない道です。
ここで注意したいのは、「経営を続けるための満室」と「売却のための満室」とでは、意味がまったく異なるということです。本連載で解説する空室改善策は、売却に特化したノウハウとなります。
収益物件も「満室」であればより高く売却できる
まず、基本的な知識を解説しましょう。収益物件として、「全空」と「満室」の物件のどちらがより価値が高いかといえば、当然、「満室」のほうです。両者を売却する場合、その差は金額にして何百万円の開きにもなります。
入居を付けるためのノウハウは、それほどコストがかかりません。ですから満室にすることで、十分に元を取ることができるはずです。多少コストをかけてでも、できる限り空室を埋めてから売りに出すべきです。
入居率が悪い状態で売りに出すと、それが原因で融資が組めなくなります。空室だらけの物件では、今後の経営が難しいと見なされるからです。
あえて空室が多い物件を安く購入する、という不動産投資手法もあります。空室率が高いことを理由に、かなり安く指値して購入するというやり方です。しかしそれはあくまで不動産投資の上級者向け。一般の不動産投資家は、なるべく満室に近い物件を購入したがるものなのです。