親が支払った「子供名義の生命保険」に高額な贈与税が発生…税務調査で狙われる「名義保険」の落とし穴【税理士が解説】

親が支払った「子供名義の生命保険」に高額な贈与税が発生…税務調査で狙われる「名義保険」の落とし穴【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

未成年の子供への贈与は、税務上多くの注意点があります。場合によっては、よかれと思って子供のために貯めていた資産に、高額な贈与税が発生するケースも……。本記事では、未成年の子供に贈与する際のポイントについて、税理士の伊藤俊一氏による著書『税務署を納得させるエビデンス 決定的証拠の集め方』シリーズ(ぎょうせい)より、同氏が解説します。

未成年への贈与契約書作成の例

贈与契約書

 

贈与者〇〇〇〇(以下、「甲」という)は、受贈者〇〇〇〇(以下、「乙」という)に、金銭〇万円を無償で与える意思を表示し、乙の法定代理人(〇〇〇〇(父)、〇〇〇〇(母))はこれを受諾した。また、甲は平成〇年〇月〇日までに当該金額を乙の下記口座に振り込むものとする。

 

〇〇銀行〇〇支店 普通口座 〇〇〇〇〇〇〇

口座名義人 〇〇〇〇

平成〇年〇月〇日

 

甲 住所 〇〇

  名前 〇〇 印

 

乙 住所 〇〇

  名前 〇〇 印

 

乙の法定代理人(父)

  住所 〇〇

  名前 〇〇 印

 

乙の法定代理人(母)

住所 〇〇

名前 〇〇 印

 

親族間での争い・税務調査を回避するための注意点

なお、後々の争い(親族間、税務調査)を回避するよう下記を徹底します。

 

・贈与者の住所、氏名は贈与者が自署する

・法定代理人(父、母)の住所、氏名は父母各人が自署する

・日付は贈与者が自分で書く

→公証役場で確定日付の印を押してもらうとベスト

→確定日付については下記(出典:日本公証人連合会ホームページ)を参照。

 

Q 

公証人が付する「確定日付」とは、どのようなものですか。

 

A 

確定日付とは、文字通り、変更のできない確定した日付のことであり、その日にその証書(文書)が存在していたことを証明するものです。公証役場で付与される確定日付とは、公証人が私書証書に日付のある印章(確定日付印)を押捺した場合のその日付をいいます。

 

文書は、その作成日付が重要な意味を持つことが少なくありません。したがって、金銭消費貸借契約等の法律行為に関する文書や覚書等の特定の事実を証明する文書等が作成者等のいろいろな思惑から、その文書の作成の日付を実際の作成日より遡らせたりして、紛争になることがあります。確定日付は、このような紛争の発生をあらかじめ防止する効果があります。

 

Q

公証人による確定日付付与の効力は、どのようなものですか。

 

A

確定日付の付与は、文書に公証人の確定日付印を押捺することにより、その文書の押捺の日付を確定し、その文書がその確定日付を押捺した日に存在することを証明するものです。文書の成立や内容の真実性についてはなんら公証するものではありません。

 

この点、文書の内容である法律行為等記載された事項を公証する「公正証書」や、文書等の署名押印などが真実になされたことを公証する「認証」とは異なります。

 

両親が「共同で」自署押印をすべき理由

これらは義務ではありませんが、上記の通り、後々の争いを保全するために、自署すべき部分は自署しておいたほうがいいでしょう。法定代理人は両親「共に」自署押印します。しかし、絶対に、というわけでもありません。贈与の当事者間では意思の合致が認められるからです。

 

民法818条(親権者)

親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。

 

民法825条(父母の一方が共同の名義でした行為の効力)

父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

 

と、あるとおり、民法818では「共同して」、民法825条では「共同の名義で」とあります。このため両親共に自署押印した方がよりよい、ということになります。

 

なお、非常に実務的観点からすると、離婚はしていないが、「様々な理由により」片方の自署、押印しかとれない場合も想定されます。しかし、そういう状況が深刻であればあるほど、将来、何かしらのトラブルに発展する可能性が高まります。したがって困難ではあるが、夫婦間の問題が深刻であればあるほど、法定代理人の欄は両親共に、自署押印すべきです※2

 

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