(※画像はイメージです/PIXTA)

日銀が9月20日に発表した「資金循環統計」によると、個人が保有する金融資産は2023年6月末時点で約2,115兆円と、過去最高を記録しました。その主な要因として挙げられるのが、その前の四半期(2023年1月~3月)と比べ「株式」と「投資信託」の残高が大幅に増えたことです。本記事では、株式と投資信託について、それぞれどのような性質をもつ金融商品なのか、値動きのしくみやリスクにも触れながら解説します。

「投資信託」の金融商品としての特徴

投資信託は、複数の投資家からお金を集め、資産運用の専門家がまとめて株式や債券等で運用し、そこから得られた利益を投資家に還元する金融商品です。株式と違って少額から投資することができ、100円から購入できる投資信託もたくさんあります。

 

特に人気が高いのが、株式を組み入れた「株式投資信託」です。株式投資信託には、大きく分けて「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類があります。

 

「インデックスファンド」は、特定の株式指数(日本の「日経平均」「TOPIX」、米国の「S&P500」「NYダウ」「NASDAQ100」等)に連動した動きをするように運用される投資信託です。

 

これに対し、「アクティブファンド」は、運用担当者(ファンド・マネージャー)が投資する銘柄や投資割合を決めて、インデックスファンドよりも高い実績をめざす投資信託をいいます。たとえば、投資家から注目されていないが将来有望とみられる銘柄の比率を高めるなどします。

 

投資信託は、そこに含まれる銘柄に幅広く投資することになります。たとえば、米国の代表的な上場企業500銘柄を指数化した「S&P500」のインデックスファンドに1,000円投資した場合、1,000円という少額であっても、そこに含まれる500銘柄すべてに投資できているのとほぼ同じ意味があります。

 

投資信託は、投資先が最初から多数に分散されているので、仮に構成銘柄のうち1社が倒産したとしても、価値がゼロになることはありません。また、不調な業種や会社があっても、他の好調な業種や会社がカバーしてくれることがあります。したがって、個別の株式を購入するよりも価格変動リスクや信用リスクが抑えられます。

 

◆投資信託は「長期・積立・分散」が有効

投資信託の最大の特徴は、「長期・積立・分散」によってリスクを分散しやすいことにあります。

 

まず、「長期」「積立」は、長期にわたり、毎月「1万円」などと決めて一定額をコツコツと投資信託に投資していくことをさします。投資信託は価格が変動します。毎月の投資金額が決まっているので、上昇した月は購入量が少なくなって「高値掴み」を抑えることができます。逆に、下落した月には購入量が多くなり、あとでまた価格が上昇したときに大きな利益(含み益)が発生します。

 

また、株式は、全体としてみれば、経済成長に連動して上昇していく傾向があります。したがって、経済成長が見込める限り、短期的には騰落を繰り返しても、長期的には右肩上がりに伸びていく可能性が高いといえます。

 

次に、「分散」については、前述のように、投資信託は投資先が最初から多数に分散されているので、特定の業種・会社の業績不振や倒産・破綻により大きな損失をこうむる危険性が緩和されます。

 

したがって、投資信託は、特に、長期にわたり一定額を投資し続ける方法をとれば、株式よりも安定的に、着実に利益を得られる可能性が高いといえます。

 

今回の資産循環統計において、投資信託は前四半期より15.9%増と、短期で大きく増加しました。しかし、これはあくまでも一時的な株価上昇の影響を受けたものだということに留意する必要があります。

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