必死に働いても、日本人の年金は「たったこれだけ…!?」
現在、国民年金の保険料は1ヵ月あたり1万6,520円。厚生年金の保険料は毎月の給与と賞与にそれぞれ保険料率をかけて算出するが、現在は18.3%で固定。企業側と折半して払う。
厚生年金は基本的に給与や賞与に連動するが(上限あり)、年金額が現役時代の給与をかなり下回るということは、マスコミ報道等を通じ、多くの国民が理解しているのではないか。
OECDの調査によると、日本の「年金所得代替率(退職前所得に対する年金給付額の比率)」は32.4%で、主要51ヵ国中43位だった。G7の国々はというと、「イタリア」74.6%、「フランス」60.2%、「イギリス」49.0%、「ドイツ」41.5%、「米国」39.2%、「カナダ」38.8%。日本は圧倒的最下位だ。世界各国と比較しても、現役時代の給与と年金のギャップが大きいといえよう。
◆世界主要国〈年金所得代替率(税引き前)上位10ヵ国〉
1位「ブラジル」88.40%
2位「デンマーク」80.00%
3位「ルクセンブルク」76.60%
4位「アルゼンチン」76.10%
5位「ポルトガル」74.90%
6位「コロンビア」74.80%
7位「イタリア」74.60%
8位「オーストリア」74.10%
9位「スペイン」73.90%
10位「トルコ」73.30%
………
43位「日本」32.40%
出所:OECD(2020年)/ 資料:GLOBAL NOTE
40代のサラリーマン「ねんきん定期便」の金額に青ざめる
すでに年金を受給している高齢者にあきらめが広がる一方、毎年の誕生月に届く「ねんきん定期便」を見て、「こんなに少ないわけがない、なにかの間違いでは…」とショックを受ける現役世代もまた、少なくない。
中小企業勤務(製造業)の40代サラリーマン男性はうつむく。
「これまでも届いていましたが、お恥ずかしい話、まともに見ていませんでした。しかし、ここ数年年金の話題が持ちきりになっているのと、私自身、40代半ばに差し掛かったということもあり、腰を据えてじっくり眺めたのですが…」
厚生労働省の調査では、製造業のサラリーマン(平均43.6歳)の平均給与は月収32.6万円、年収553.3万円。仮に20歳から働き、平均的な給与を得て、国民年金保険料も完璧に支払っている場合、「月8万5,000円」程度の年金額が記されていると思われる。
厚生年金受給者の平均年金額は月14万円程度なので、それと比較すると相当低い。おかしい。重大なミスではないか――と、年金事務所に慌てて電話してしまったのだという。
「金額を見て、思わず血の気が引きました。絶対おかしいと…」
これは、実によくある間違いなのだ。50歳未満の人の「ねんきん定期便」には、これまでの加入実績に基づく金額をもとに「算出時点で保険料の支払いをやめたとしたら、いくら年金がもらえるか」を計算した結果が記載されている。つまり、上記の男性の場合、これまで就労した20数年分の保険料の支払い実績に基づいた金額であり、未来の就労分については加味されていない。
「よく調べずに電話してしまったのに、とても親切に説明してくれました…」
一方、50歳以上の人の「ねんきん定期便」の記載は、このまま60歳まで同様のペースで働くことを仮定したうえでの年金見込み額となっている。そのため、将来手にするであろう年金に近い金額が記されている。上記の男性の場合、もし今後も同様の給与を得て、60歳で引退したら、月17万円程度の年金を手にすることになるはずだ。
現実を直視し、必要な対応を
老後不安を抱えている日本人は多いはずなのに、読むことが怖いのだろうか、せっかく届いた「ねんきん定期便」を斜め読みしたり、すぐ捨ててしまったりなどする人が珍しくない。現実から目を背けたからといって、老後資金の不足額が変わるわけではないのだから、その点はしっかり受け止め、取れる対策を取っていきたいものだ。
もし「ねんきん定期便」を廃棄してしまっても、日本年金機構が提供する「ねんきんネット」なら、電子版「ねんきん定期便」のほか、将来の年金見込額や年金記録の確認などが行える。将来設計を盤石にするためにも、積極的な活用をお勧めする。
税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは
【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討
【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成
【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える