海外からの旅客は「コロナ前」の水準にほぼ回復
まず、外国人の旅客(新規入国者に限る)のデータをみてみると、2023年8月は197万9,134人でした。2019年8月は209万9,500人だったので、その94.3%と、ほぼコロナ前の水準に回復しつつあるといえます([図表1]参照)。
エリア別にみると、北アメリカ(カナダ、米国等)とオセアニア(オーストラリア等)が、2019年よりも増加しています。北アメリカは2019年8月に13万9,455人だったのが17万7,680人へと増加、オセアニアは2019年8月に2万9,134人だったのが3万788人へと増加しています。
その他のエリアは、2019年8月と比べると低いものの、アフリカ以外は90%を超えています。
アジアでは、韓国が2019年8月に28万1,099人だったのが55万3,325人へと2倍近く増加しているのが目を引きます。円安が影響しているものとみられます。
これに対し、コロナ前の水準より大幅に少なくなっているのが中国で、2019年8月に73万3,148人だったのが、20万354人にとどまっています。これは、中国政府が日本への団体旅行を規制していることが影響しているとみられます。もし、規制がなければ、コロナ前の水準か、それ以上になっていた可能性が考えられます。そうであれば、2023年8月の外国人旅客の総数が2019年8月を超えていた計算になります。つまり、コロナ前以上の水準になっていた計算です。
このように、海外からの旅客数の動向からは、世界的な「コロナ明け」モードの傾向が顕著にみてとれます。
日本人の海外旅行は「コロナ前の半分」
次に、日本人のデータをみてみましょう。[図表2]は2019年~2023年のそれぞれの8月における日本人出国者数と日本人帰国者数推移です。
出国者数は2019年8月が210万9,566人だったのが、2023年8月は120万1,247人にとどまっています。帰国者数は、2019年8月が242万5,801人だったのが、2023年8月は113万5,935人です。いずれも、コロナ前の半分くらいの水準にとどまっています。
日本は2023年5月半ばから「コロナ明け」モードが急速に広がっています。そんななかで、コロナ禍の間、行きたくても行けなかった海外へ旅行したいというニーズは高いとみられます。ところが、海外からの旅客数がコロナ前の水準をほぼ回復したのに対し、日本人の海外旅行客の回復ペースは遅いといわざるをえません。
その大きな要因としては、折からの物価高と、昨今急激に進んだ円安の影響が考えられます。2019年8月における為替レートの終値の平均は106.34円でした(日本銀行の統計)。ところが、2023年8月は144.73円と、大幅な円安になっています。しかも、燃料価格が高騰し、飛行機代も高くなっています。また、国によってはインフレが進んでいます。
懐具合を考えると、海外旅行に行きたくても行けない、という人が相当数おり、それが、海外旅行客の回復ペースの鈍さにつながっている可能性が考えられます。
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