(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生労働省が9月13日に公表した「2021年(令和3年)度介護保険事業状況報告(年報)」によると、65歳以上で要介護認定・要支援認定を受けている人の数は2021年末時点で約676.6万人でした。高齢化が進み老後が長くなるなか、介護の問題は多くの人にとって切実な問題となっています。そんななか、自宅をバリアフリー化した場合にもらえる公的な助成金の制度があります。本記事で解説します。

どれくらいの人が要介護・要支援認定を受けているのか

厚生労働省が9月13日に公表した「2021年(令和3年)度介護保険事業状況報告(年報)」によると、要介護認定・要支援認定を受けている人の数は2021年末時点で約690万人です。内訳は以下の通りです。

 

【要介護認定を受けている人の数】

・要介護1:142.9万人(20.7%)

・要介護2:116.2万人(16.9%)

・要介護3:91.8万人(13.3%)

・要介護4:87.4万人(12.7%)

・要介護5:58.6万人(8.5%)

 

【要支援認定を受けている人の数】

・要支援1:97.4万人(14.1%)

・要支援2:95.2万人(13.8%)

 

65歳以上の「第1号被保険者」だけでみると、総数3,588.7万人に対し、認定者数が676.6万人で、ほぼ5人に1人が認定を受けていることになります。そのうち65歳~74歳の「前期高齢者」が76万人(11.3%)、75歳以上の「後期高齢者」が593万人(88.7%)であり、高齢になるほど認定を受けている人が多くなっています。

 

高齢化に伴い、この数字はさらに増加していくことが予測されます。そんななか、在宅で介護を受けるニーズも増えていくとみられます。

高齢者住宅改修費用助成制度とは

高齢者住宅改修費用助成制度は、在宅で介護を受けるため、自宅をバリアフリー化した場合等に、その一部を助成してもらえる制度です。40歳以上の人が加入している「介護保険」に基づく制度です。

 

1人あたりにつき原則として1回、最高で18万円を受け取ることができます。この金額については後ほど改めて詳しく解説します。

 

受給できる人

高齢者住宅改修費用助成制度を利用して助成金を受給できるのは、以下の要件をみたす人、またはその同居の親族です。

 

・65歳以上

・要介護認定、または要支援認定を受けている

・リフォームを行う住宅に居住している

・同じ住宅について助成金の支給を上限額まで受けていない

 

対象となる改修工事

助成の対象となる工事は、以下の改修工事で、日常生活を維持するため必要最低限のものです。持ち家か借家かは問いませんが、借家の場合は家主の承諾が必要です。

 

【対象となる工事】

1. 手すりの取付け

2. 段差の解消

3. 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料変更

4. 引き戸等への扉の取替え

5. 洋式便器等への便器の取替え

6. その他1~5に附帯して必要となる住宅改修

 

今あるものが体に合わなくなった場合や、使いにくくなった場合も対象となります。経年劣化は対象外です。また、大規模な改修は、資産価値を高めることになるので対象外です。さらに、設備の設置・改良も対象外です。

 

ただし、住宅の改修工事と設備の設置・改良とでは、区別が微妙なケースがあります。両者の違いは、物理的・機能的にみて、その建物自体と一体化するかということです。

 

たとえば、「階段の手すり」は、その家の階段と物理的に一体であり、かつ、階段を登れなくなるので機能的にも一体です。

 

「住宅の引き戸」は、建物の出入口にぴったり合うので物理的に一体であり、かつ、それがないと雨風を防ぐこともできないので機能的にも一体といえます。

 

「便器」はトイレに付着させられるので物理的に一体であり、かつ、それがなければ生活できないので機能的にも一体といえます。

 

他方で、浴槽、給湯設備、流し・洗面台の取替えなどは、物理的・機能的に一体とはいえないので、対象外です。ただし、別途、介護保険の保険給付の対象となることがあります。また、自治体によってはそれらを対象とした助成金の制度を設けているところがあります。

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