(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生労働省が9月13日に公表した「2021年(令和3年)度介護保険事業状況報告(年報)」によると、65歳以上で要介護認定・要支援認定を受けている人の数は2021年末時点で約676.6万人でした。高齢化が進み老後が長くなるなか、介護の問題は多くの人にとって切実な問題となっています。そんななか、自宅をバリアフリー化した場合にもらえる公的な助成金の制度があります。本記事で解説します。

助成してもらえる金額

助成してもらえる額は、「支給限度基準額」から、介護保険制度の「自己負担割合」を差し引いた額です。

 

◆支給限度基準額

支給限度基準額は、改修工事にかかった額のうち、助成額を算定する基準となる額の上限です。そこから、介護保険制度の自己負担割合の額を差し引いた額について、助成してもらえるということです。

 

1人あたり20万円です。夫婦2人で住んでいる場合は、合算して助成を受けることができます。

 

たとえば、改修工事の費用が30万円だった場合、支給限度基準額の20万円が助成額の算定対象となります。これに対し、改修工事の費用が15万円だった場合は20万円ではなく15万円が助成額の算定対象となります。

 

ただし、改修工事の費用が支給限度基準額の20万円を超えた場合でも、自治体によっては独自に「上乗せ」で助成してもらえるところがあります。

 

◆介護保険制度の自己負担割合

介護保険制度の自己負担割合は、所得に応じて「1割」「2割」「3割」の三段階となっています。所得の基準は自治体ごとに定められています。

 

たとえば、介護保険制度の自己負担割合が「1割」、改修工事の費用が「30万円」だった場合、支給限度基準額は上限の「20万円」です。そこから自己負担割合の「1割」である「2万円」を差し引いた「18万円」を助成してもらえることになります。

複数回利用できるケースもある

高齢者住宅改修費用助成制度を利用できるのは、原則として1回のみです。ただし、例外として、複数回利用できるケースがあります。2回目以降も、支給限度基準額は20万円です。

 

◆段階が3つ以上上がった場合

まず、助成金を受給したあとで、段階が3段階以上上がった場合、改めて助成金を受給することができます。たとえば、「要介護1」から「要介護4」に上がった場合や、「要支援2」から「要介護3」に上がった場合です。

 

このような場合には、新たに改修工事を加える必要性が生じるからです。

 

◆転居した場合

次に、転居した場合です。もし、転居先の住宅を改修する必要性があれば、改めて助成金を受給することができます。

助成金の受給手続き

高齢者住宅改修費用助成制度における助成金を受け取るには、在住する市区町村への「事前申請」と「事後申請」が必要です。

 

◆事前申請

事後申請をする場合、まず、「居宅サービス計画」等を作成するケアマネージャー等に相談し、「住宅改修が必要な理由書」を作成してもらう必要があります。この書面を作成できるのは、ケアマネージャー(介護支援専門員)、地域包括支援センター担当職員、作業療法士、福祉住環境コーディネーター検定試験2級以上等、一定の資格を有する人に限られています。

 

それをもとに、施工業者に「工事費の見積書」と完成予定の状態が分かる資料(日付入り写真や間取り図等)を用意してもらいます。そして、工事前に、「住宅改修が必要な理由書」「工事費の見積書」等を「支給申請書」と一緒に、市区町村の窓口に提出します。

 

◆事後申請

事後申請は、「工事費の領収書」と「工事費内訳書」、住宅改修の完成後の状態を確認できる書類(改修前と改修後の画像)を提出して行います。借家の場合は、住宅の所有者の承諾書も一緒に提出します。

 

高齢化が進むなか、冒頭に紹介したデータが示すように、長生きするほど、要介護状態・要支援状態になる可能性も高くなります。もし、そうなった場合に、在宅で介護を受けられる環境を整えたいと考えるならば、高齢者住宅改修費用助成制度があることをぜひとも頭に置いておいていただきたいと思います。

 

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