実はiPhone15は「破格」?際立つアップル社の「企業努力」
特筆すべきは、この間、アメリカでiPhoneの最新機種の発売価格がほぼ据え置かれているということです(「iPhone15 Pro Max」だけは100ドル値上げされて1,199ドルになっています([図表3]参照))。
iPhoneはバージョンアップを繰り返し、より高性能になってきています。また、「iPhone13」以降は容量が「iPhone12」の2倍の128GBになっています。さらに、世界的な半導体不足で半導体の価格も値上がりしています。しかも、アメリカは2021年以降、「インフレ」の真っただ中でした。
そうであるにもかかわらず、最新機種の発売価格が799ドルのまま据え置かれているということです。アップル社がコスト削減等を通じてiPhoneの価格を抑制しようとしていることがうかがわれます。もともとiPhoneというブランドによる付加価値が価格に反映されていたことを差し引いても、価格を据え置くという経営判断は、営業利益の減少に直結しかねないものであり、容易には踏み切れないものです。このことからすると、日本の販売価格は、ほぼ為替レートの影響を反映させただけものであり、「破格」だといえます。
なお、アップル社は、新たなバージョンを発売するたび、古いバージョンの機種を値下げするというやり方をとっています。
価格差はほぼ「円安ドル高」の影響…日本政府の対策は?
折からの円安ドル高は、物価上昇を招いており、日本に住む人々の生活に大きな影響を及ぼしています。iPhone15がiPhone14より「値上がり」したといっても、ここまで述べてきたように、アップル社はiPhone自体を値上げしたわけではなく799ドルのままです。ドルと比較して円の価値が下がってしまったために、iPhone15の価格が高くなってしまっているということです。
ここまで円安が進んでいる主な要因は、日米の「金利差」にあります。日本では長らく「マイナス金利政策」が続いています。これに対し、アメリカでは前述した「インフレ」への対抗策として2022年3月以降「利上げ」を相次いで行っています。
資産運用をする場合、高金利の通貨で運用するほうが有利なので、金利の低い円が売られ、金利の高いドルが買われているのです。日米の政府がそれぞれ現在の政策を続ける限り、円安ドル高の傾向が続く可能性が高いと考えられます。
それでは、日本はマイナス金利政策を転換し利上げを行えばいいのかといえば、そう簡単にはいきません。経済が停滞している状態で利上げを行えば、企業が資金調達をしにくくなり、住宅ローン等の長期的な融資を受けている個人の返済計画・資金計画にも影響を及ぼす可能性が考えられます。
岸田首相は9月10日の記者会見で、物価高から国民生活を守る経済対策を「大至急」行う方針を示しました。しかし、物価高の要因の一つである円安ドル高に歯止めをかけることは容易ではありません。さらに、ロシアのウクライナ侵攻に起因する燃料価格や穀物価格等の高騰という要因もあり、日本政府は難しいかじ取りを迫られることになります。
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