前妻・前夫との子供にも相続の権利がある
前妻や前夫には相続権はありませんが、前妻や前夫との間にできた子供には相続権があります。
義務である養育費は全て払い終えた、長らく音信不通であった、子供達も成人しお金には苦労していないなど、「相続の必要はないのでは?」と感じる理由があるかもしれません。しかし、前妻や前夫との間の子供であっても、相続順位が第1順位の法定相続人です。現在の配偶者との間に子供がいるのなら、その子供と同等の扱いになります。
たとえば、現在の配偶者との間に子供が1人いて、前の配偶者との間に子供が1人いたとします。相続の割合は現在の配偶者が2分の1、子供達全員で2分の1です。そして、子供が合計3人なので1人あたりの割合は6分の1となります([図表]参照)。
遺産分割協議は相続人全員が参加しなければ無効となってしまうので、前妻・前夫との間の子供を除外することはできません。前妻・前夫との子供の同意がなければ、不動産を処分したり、預貯金の払い戻しをすることもできないのです。
遺言書を作成することで相続財産に差をつけることはできますが、法定相続人としての遺留分を奪うことはできません。
前妻・前夫との子供達、現在の配偶者の子供達へ遺産をどのように遺すか、いろいろと思うところがあることでしょう。現在の配偶者の気持ちも尊重しなくてはいけません。それらを整理して、遺産の配分に適切に反映させるためには、弁護士や税理士など専門家のアドバイスを受けて遺言書を作成する必要があります。
遺言書を作成する際にサポートを受けた専門家に「遺言執行者」になってもらえば、前妻・前夫との子供への連絡など相続の実務的な部分も担ってもらえるので、現在の家族の心理的負担が大幅に軽減されます。
関根 俊輔
税理士法人ゼニックス・コンサルティング
税理士
関根 圭一
社会保険労務士・行政書士
大曽根 佑一
司法書士・行政書士