元国税調査官で税理士のじてこ先生SASAこと笹圭吾氏のSNSには、お金や税金についての質問や相談が多数寄せられるそうです。その回答を、じてこ先生は著書『あの~~~、1円でも多くお金を残すにはどうしたらいいですか?』(すばる舎)でまとめられています。本連載では、じてこ先生のSNSに届いた質問や相談の中から誰もが気になりそうなものを抜粋して、会話形式で紹介。今回は、中橋ゆたか君の質問「タワマン節税ってなんですか?」を取り上げます。質問者の中島君は高校3年生の18歳。お父さんの会社を継ぐ予定で、結構、豊かな家庭で育っています。勉強は得意なほう、とのことです。
近年どんどん対策がされているので、節税効果は今後減少する
じてこ先生SASA「(若さゆえの潔癖さかな……)もちろん、単にタワマンに住みたい、と思って買っている人もそれなりにいるだろうけどね。
評価額の計算方法についても、明らかに節税目的で『著しく不適当』な場合については、特別に課税された事例もあるし。2017年には『下層階の物件と、より価値の高い上層階の物件とで固定資産税が同額なのはおかしい』ということで、タワマンについては固定資産税の計算方法も見直されているよ。
そして、ついに2022年税制大綱では、タワマンの相続税の評価額算出ルールも今後見直すことが決められている。(2024年からルール変更の予定と報道されています。)」
質問者「そしたら、もう節税対策としては使えないということですか?」
じてこ先生SASA「まだ新しいルールは決まっていないから、正確なことは言えないけど、『著しく不適当』なものを排除することが主な狙いだと思うんで、完全に節税効果がなくなることはないんじゃないかな。
今後の税制改正の注目ポイントなので、気になる読者のみなさんは、最新情報を国税庁ホームページでもチェックしてみてください。」
質問者「タワマンを取り巻く薄汚い大人たちの事情がよくわかりました。先生、ありがとうございます。どちらにしても、ウチの相続税対策が万全か、父にも確認してみようと思います。ウチは顧問の税理士さんもついているんで、大丈夫だとは思いますが。……では。」
じてこ先生SASA「(やっぱり、イヤな感じに育ってるなぁ〜・笑)はい、じゃあね〜。」
まとめ
・タワマン節税とは、タワーマンションの高層階の物件を購入することで、相続発生時の相続税額を減らす手法のこと。
・現金で相続するとその額面金額がそのまま相続税評価額になるが、タワマンなどの不動産では時価の3割程度で計算されるケースがあることを利用する。
・現金を相続するよりも大幅に相続税を少なくできるので、富裕層にとっては一般的な節税手法になっている。ただし、公平性の観点から評価額の算出ルールを見直す流れになっているので、今後、その節税効果は減少する予定。ただし、効果ゼロにはならないと予想される。
元国税・税理士
元国税・税理士
1980年、和歌山県生まれ。
大学在学中に国税専門官採用試験に合格、その後、大阪国税局で国税調査官として17年勤務。
我が子に「挑戦しろ!」と言っているにも関わらず、自分自身が挑戦していないことに気づき、父の背中を見せるために「自分がワクワクすることしかしない」と決め、国税局を退職し税理士として独立開業。
税理士の集客目的で始めたSNSが大バズりし、SNS総フォロワー数25万人超(TikTok 13万人、Instagram8万人、YouTube4万人など)のアカウントに成長。SNSのおかげで、集客には成功するものの心が豊かになっていない(わくわくしていない)ことに気づき、1年6ヶ月で税務顧問業から完全撤退。
このとき、税理士顧問業と並行しながら別の活動に身を投じることも可能であったが、過去の実績(資格、能力など)が邪魔をして前に進めなくなっている自分を痛烈に感じたことから、税務顧問業からの完全撤退を選択した。
現在は、人によって異なるお金や税金の「最適」を伝えるため、各種SNSや動画、メタバース、セミナーなど多様なチャネルで税務やビジネスに関する情報を発信中。
また、子供たちの明るい未来には、今の環境を変える必要を感じ、メタバース等のテクノロジーを活用し、世界に日本を届ける活動をしている。 2023年5月には、メタバースにて「24時間メタバース活用EXPO 2023」を主催し、来場1万人を達成。趣味はヒップホップダンス、読書、ランニングなど。本書が初の著書。
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