(※写真はイメージです/PIXTA)

日本企業の従業員は労働基準法などさまざまな法に守られており、めったなことでは解雇されません。また通常、解雇されるときは事前に「解雇予告」を受けます。しかし、そんな日本であっても「解雇の際、予告が不要な場合がある」と、Authense法律事務所の西尾公伸弁護士はいいます。それは具体的にどのようなケースか、詳しく見ていきましょう。

都度「証拠」を残すことが重要

3.必要な解雇予告手当を支払う

先ほど解説したように、解雇予告をした日から解雇日までの期間が30日に満たない場合には、原則として解雇予告手当の支払いが必要です。

 

解雇予告手当の支払いが必要であるにもかかわらず支払わない場合には、付加金の支払い命令や罰則の対象となる可能性があります。また、解雇をされた従業員に不信感を抱かせてしまうことで、訴訟を提起される可能性を高めてしまうことにもなりかねません。

 

そのため、解雇予告手当の支払いが必要なケースでは、法定された金額をきちんと支払ったうえで、支払いの証拠を残しておきましょう。

 

4.解雇予告通知の証拠を残す

解雇予告をしたら、必ずその証拠を残しておきましょう。解雇日30日前までに解雇予告をした場合には、解雇予告手当の支払いは必要ありません。しかし、解雇予告をしたことの証拠がなければ、解雇予告をされていないなどと主張されるおそれがあるためです。

 

具体的には、解雇予告通知書の会社控えに、受領した旨の署名や捺印をもらっておくことなどが考えられます。また、自宅待機になっている場合など郵送で解雇予告をする場合には、配達証明付きの内容証明郵便で送るとよいでしょう。

 

内容証明郵便とは、いついかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって日本郵便株式会社が証明する制度です※3。内容証明郵便で送ることで、郵便を受け取っていないという主張や、郵便は受け取ったものの中味は違うものであったという主張などができなくなります。

 

◆まとめ

解雇予告とは、解雇日の前に従業員に対して解雇を予告することです。原則として解雇日の30日前までにすべきとされているものの、適正な解雇予告手当を支払うことで、それ以後の予告も認められます。

 

ただし、解雇日30日前に解雇予告をしたり、解雇予告手当を支払ったりすることで、解雇が当然に有効となるわけではありません。従業員が解雇に納得していない場合には、不当解雇を主張して訴訟が提起される可能性もあるでしょう。そのため、解雇予告をする前に弁護士にご相談ください。


<参考文献>

※1 厚生労働省:解雇予告除外認定申請について
https://jsite.mhlw.go.jp/iwate-roudoukyoku/content/contents/kaikozyogai031025.pdf

※2 厚生労働省神奈川労働局:平均賃金について【賃金室】
https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/saiteichingin_chinginseido/heikinchi.html

※3 日本郵便株式会社:内容証明
https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/index.html

 

 

西尾 公伸

Authense法律事務所

弁護士

 

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※本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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