日本は先進国だが…国民の6人に1人が貧困層
日本の貧困のあり方について考えてみよう。
世界的に見れば、日本は先進国だといわれている。アメリカ、中国に次ぐ、世界第3位の経済大国であり、市場には最先端のファッションや商品があふれ、都会ではどんな国の料理でも食べることができる。サービスも世界屈指だ。
その一方で、日本は「貧困大国」と呼ばれることもある。新聞やテレビでは、日本の貧困問題が取り上げられ、格差が大きな問題となっている。君の周りにだって貧困はあるよね。塾に行けずに進学をあきらめる子がいたり、親が病気をして働けずに生活保護を受けている子がいたりするはずだ。大学生の約半分が奨学金という名の借金を背負わなければ、大卒の肩書を身につけることができずにいる。経済大国でありながら、貧困大国であるというのは、どういうことなんだろう。
日本が経済大国とされる理由は、GDP(国内総生産)の数値がもとになっている。GDPとは、1年間の「民需+政府支出+貿易収支の総額」であり、日本はこれが世界で3番目に高いとされている。これが世界第3位の経済大国と呼ばれる理由だ。
他方、貧困大国であることについては、GDPではなく、「相対的貧困率」が根拠になっている。相対的貧困率というのは、日本のような先進国の貧困の割合を測る基準で、次のように算出される。
〈国民の等価可処分所得の中央値の半分未満〉具体的な金額でいえば、一人世帯で年間127万円未満で生活している人たちが貧困層ということになる。日本の相対的貧困の割合は、15.4パーセントなので、国民の6人に1人が貧困層ということになる(2018年統計)。
こんなふうに貧困を定義するのは、国によって物価が違うためだ。途上国では5万円あれば十分に1カ月暮らすことができても、日本では屋根のあるところに寝泊まりして食べていくことは難しいよね。だからその国の物価などに照らし合わせて貧困ラインを決めることになる。
図表2を見てほしい。世界的に見ても、イスラエル、アメリカ、韓国、トルコなどについで10番目に高い数値だ。先進国にかぎれば、4番目ということになる。これこそが、日本が貧困大国と呼ばれるゆえんだ。
*OECD (2019), Poverty rate (indicator).doi:10.1787/0fe1315d-en (Accessed on 01 July 2019)より作図。注:ハンガリー、ニュージーランドは2014年、アイスランド、デンマーク、スイス、アイルランド、日本、チリ、トルコは2015年、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、韓国、イスラエルは2017年、残りはすべて2016年の統計。
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