フィリピン経済成長率「通年目標達成」に暗雲も〈経済政策の転換〉で好転の可能性

9月4日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン経済成長率「通年目標達成」に暗雲も〈経済政策の転換〉で好転の可能性
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、マルコス政権が取り組む財政支出と財政健全化の舵取りと、フィリピン中央銀行の金融政策の動向についてみていきます。

フィリピン中央銀行新総裁…RRR引下げ時期「未定」と明言

8月17日、中央銀行政策決定会合が行われ、3回連続でタカ波の政策姿勢を維持し、政策金利を6.25%に据え置きました。これはほぼ16年ぶりの高水準です。BSPは、2022年5月から2023年3月までに425ベーシスポイントの利上げを行い、インフレを抑制しています。

 

会合のあと、フィリピン中央銀行(BSP)新総裁のレモロナ氏は、依然として銀行の準備率要件比率(RRR:Reserve Requirenment Ratio)を引き下げる計画があるものの、金融緊縮モードの間は一貫性がなくなるので、実施時期は不確定だと語っています。

 

準備率要件比率(RRR)とは、銀行が貸し出すのではなく、BSPへの預金として保持しなければならない予備金の割合です。2023年6月、BSPは大手銀行および準銀行業務を持つ非銀行金融機関向けの比率を250ベーシスポイント引き下げて9.5%にしました。また、デジタルバンク向けの比率も200ベーシスポイント引き下げて6%、および貯蓄銀行、農村銀行、協同組合銀行向けには100ベーシスポイント引き下げてそれぞれ2%と1%にしました。BSPは、大手銀行のRRRを2018年の20%から今年にかけて一桁台にまで引き下げています。インフレが目標範囲内の2~4%に達した後、銀行のRRRをさらに引き下げると、貸出活動が増加し、より大きな融資と高い経済成長が促進される可能性があります。

 

8月17日に、BSP総裁として初めての政策会議を主宰したレモロナ氏は、次回の会議でも、まだ金融緩和は見込まれないとしています。

※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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