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マイホームの購入や生活援助などの目的で、親から子にお金の貸付をすることはよくあります。しかし、親子同士であるだけに「ある時払いの催促なし」や「出世払い」といったように、返済や利払いの取り決めをしないケースもみられます。貸付のつもりでも、実質的に贈与とみなされれば贈与税が課税されることがあるため注意が必要です。そこで、親から子への貸付が贈与とみなされないために必要な対策についてみていきます。

子どもへの貸与を贈与とみなされないための対策、5つ

親から子にお金を貸す場合は、その貸付が贈与とみなされて贈与税が課税されないように、次のような対策が必要です。贈与とみなされないためには、貸付であるという証拠を準備しておくことが重要です。

 

①金銭消費貸借契約書を作成する

贈与ではなく金銭の貸付であることを示すために、契約を締結して契約書を作成します。金銭の貸付には必ずしも契約書が必要というわけではありませんが、客観的な証拠となるように書面に残しておきます。第三者に対する金銭の貸付と同様に「金銭消費貸借契約書」として契約を結び、貸付金額や金利、返済方法を定めます。

 

【よくない例】親から子にお金を貸したが、返済方法は口頭で約束した。

 

②返済能力に応じた金額を貸す

貸付金額は、お金を借りる子供の返済能力に見合った金額に設定します。子供が実際に返せる見込みの金額を大きく超える場合は、贈与を疑われる可能性が高くなります。

 

【よくない例】貯蓄がない無職の子供に1,000万円を貸した。

 

③無理のない返済計画を定める

お金を貸すときは、親が存命のうちに返済が終わるように返済計画を定めます。高齢の親が20年や30年にわたってお金を貸す計画であれば、返済をさせるつもりがあるのかどうかが疑われます。親がいつまで存命であるかの予測は難しいものですが、厚生労働省が公表している簡易生命表で平均余命を参考にすることができます。

 

【よくない例】90歳の親が30年にわたる返済計画で子供にお金を貸した。

返済が終わる頃には親は120歳になる計算で、90歳の人の平均余命が4~5年であることを考えると計画に無理があります。

 

④適切な金利を設定する

無利子で貸付を行った場合は、通常かかるはずの利子を贈与したとみなされます。通常かかるはずの利子が少額であれば贈与税はかかりませんが、念のため契約で1~2%程度の金利を設定しておくとよいでしょう。契約で金利を設定するだけでなく、実際に利子をもらうことも忘れてはいけません。

 

【よくない例】金銭消費貸借契約で2%の金利を設定したが、実際は元金のみ返済した。

 

⑤返済・利払は銀行口座を通じて行う

元金の返済と利子の支払いは、客観的な記録が残るように銀行口座を通して行うようにしましょう。現金でのやり取りは客観的な記録が残らないためおすすめできません。

 

【よくない例】元金の返済と利子の支払いのため、子供から親に現金を手渡した。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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