NHK受信料が「ネット視聴」からも徴収へ?今こそ知りたい「受信料を合法的に支払わなくていい場合」とは

NHK受信料が「ネット視聴」からも徴収へ?今こそ知りたい「受信料を合法的に支払わなくていい場合」とは
(※画像はイメージです/PIXTA)

総務省の有識者会議と自民党が、この8月に相次いで、NHKのインターネット配信をスマホやPC等で視聴する人に対し、何らかの費用負担を求めるべきとの提言を行い、物議を醸しています。しかし、そもそもなぜ、受信料を支払わなければならないのでしょうか。また、合法的に支払わなくてよいケースはあるのでしょうか。解説します。

なぜNHKの受信料を支払わなければならないのか

NHKの受信料の支払を義務付けているのは、放送法64条1項です。「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、同項の認可を受けた受信契約の条項(認可契約条項)で定めるところにより、協会と受信契約を締結しなければならない。」とあります。

 

つまり、テレビはもちろん、テレビ放送を受信できる「スマホ」や「カーナビ」等を持っていれば、NHKと受信契約を結ぶ法的義務が課されます。そして、受信契約の履行として、受信料の支払い義務を負うことになるのです。

 

NHKは受信料を「受信の対価」ではなく「組織運営のための特殊な負担金」と説明しています。また、最高裁判所もそれを「合憲」としています。

 

2023年4月から、受信料の不払いについては、NHKが受信料の2倍の「割増金」を請求できることになりました。

 

ただし、NHKは公式HPで、不払いがあったからといって直ちに割増金を請求するということではないと表明しています。「文書・電話・訪問などさまざまなアプローチを通じて、受信料制度の意義や公共放送の役割を丁寧にご説明したうえで、割増金の対象となる事由に該当するか、割増金の請求を行うかどうかを個別に判断していく」とのことです。

 

このことからすれば、もし受信料を支払わなかった場合、NHKから「督促状」が届き、次いで電話や訪問員によって説得が行われ、それでも応じなかった場合に、法的措置がとられ、最悪の場合は差し押さえとともに割増金を請求されることになるとみられます。

 

なお、「ネット視聴」に関しては、報道によれば、スマートフォンやパソコンを持っているだけで費用負担の義務を負わされることは、当面なさそうです。

 

現時点では、あくまでも、「利用者IDの取得」など、積極的にネット視聴を行おうという意思が外部的な態度として示された場合のみ費用負担義務を負う方式が検討されているとのことです。

 

NHKの受信料を合法的に支払わなくてよいケースとは?

では、受信料を合法的に支払わなくてもいいケースはないのでしょうか。実は、あります。それは、経済的事情により、受信料の支払義務を負わせるのが相当でない場合です。以下、説明します。

 

◆学生で経済的事情により「全額免除」を受けられるケース

親元から離れて暮らす学生は、以下のいずれかに該当すれば、受信料が全額免除されます。

 

【学生が受信料の全額免除を受けられる場合】

・経済的理由の選考基準がある奨学金を受給している場合

・経済的理由の選考基準がある授業料免除制度の適用を受けている場合

・親元等が市町村民税(特別区民税を含む)非課税の場合

・親元等が公的扶助受給世帯の場合

 

また、2023年10月から学生の全額免除の範囲が拡大され、新たに、以下の条件に該当する学生も対象となります。

 

【2023年から新たに受信料の全額免除を受けられる学生の条件】

・保険証に「家族(被扶養者)」の記載がある場合(国民健康保険加入者は除く)

・学生用の保険証を交付されている場合

・年収130万円以下の場合

・20歳以上で国民年金保険料の学生納付特例対象の場合

 

◆学生以外に対する免除の制度

学生以外の人にも「全額免除」と「半額免除」の制度があります。以下にまとめました。

 

【全額免除になる場合】

・公的扶助受給者(生活保護等)

・市町村民税非課税の身体障害者

・市町村民税非課税の知的障害者

・市町村民税非課税の精神障害者

・社会福祉施設等入所者

 

【半額免除になる場合】

・視覚・聴覚障害者(身体障害者手帳を持っている)

・重度の身体障害者(障害等級1級・2級で身体障害者手帳を持っている)

・重度の知的障害者(判定を受けている)

・重度の精神障害者(障害等級1級で精神障害者保健福祉手帳を持っている)

・重度の戦傷病者(障害程度が特別項症~第1款症で戦傷病者手帳を持っている)

 

NHK受信料は、テレビ放送を受信する限り、基本的に支払い義務を免れません。しかし、経済的事情により受信料の全額、または一部を支払わなくてよいことがありますので、条件をみたす場合は、速やかに免除の手続きをすることをおすすめします。

 

もし「ネット視聴」についても受信料類似の制度が設けられるならば、同様の扱いがなされる可能性が高いと考えられます。

 

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