100冊中3割が投資することを推奨している
9位は「お金持ちになりたければ投資をする」です。
「蓄えたお金を働かせる(=投資をする)」「お金を働かせなければお金は増えない」「最大の無駄使いは投資をしないこと」「これからの時代を生き抜くには投資は絶対に必要」など、言い方はさまざまですが、100冊中3割近くが「投資をすることの大切さ」を強調していました。
投資をすすめる理由
・自分が働いているだけではお金持ちになれない。
・銀行に預けているより利回りがいい。
・日本円の価値が下がっている(現金で持っているより投資をしたほうがいい)。
・お金持ちは資産のほとんどを投資で稼いでいる。
・投資で得た利益にかかる税金は、税率が約20%(一方、給与は高額所得の場合、所得税と住民税を合わせた税金が50%以上かかることもある)。
(1)労働だけではお金持ちになれない
「資産を持っている人はよりお金持ちになる。労働でしか収入を得られない人はいつまでもお金持ちになれない」ことを証明した人がいます。
フランス人経済学者のトマ・ピケティです。ピケティは、日本では2014年に刊行され、ベストセラーになった著書『21世紀の資本』(山形浩生 、守岡桜、森本正史(訳)/みすず書房、原著は2013年刊行)の中で、次のような主張をしています。
18世紀まで遡さかのぼってデータを分析した結果、「r(資本収益率)」が年に4~5%成長するが、「g(経済成長率)」は1~2%程度しか成長しない。「r>g」という不等式が成り立つ。
資本収益率は投資の利回りを、経済成長率は賃金の伸び率を意味します。
簡単にいえば、資産を持たないと損をする、ということです。
(2)「銀行に預けているとお金が減る」こともある
「銀行に預けておく(預金)とお金が減ってしまう」「銀行に預けているだけではお金は増えない」という意見もありました。
「はっきり言うけど、投資をしないのは一番のムダ。これはOpportunity Costだよ! 日本語で言うと、『選択しなかったことで、失った価値』という意味なんだけど、お金を銀行に入れていたことで失った価値はでかいよ!」(厚切りジェイソン『ジェイソン流お金の増やし方』/ぴあ)
「銀行に預けておくとお金が減る」とはどういうことでしょうか。
預金は現金での資産保有です。物価(ものの値段)が上がると、それまでと同じ金額ではものが買えなくなります。つまり、お金の価値が下がったことになります。「物価が上がり、お金の価値が下がる」ことを「インフレ」といいます。
お金そのものが減るわけではありませんが、保有する資産の価値が下がるので、預金はインフレに弱いといわれます。銀行に預けたときの金利の低さも、マネー本の著者たちが投資をすすめる理由のひとつになっています。
みずほ銀行、三菱UFJ 銀行、三井住友銀行の3大メガバンク(総資産1兆ドルを超える巨大銀行グループ)では、定期預金の金利は1年満期で0.002%です(2023年5月25日現在)。
仮に100万円を1年預けても、20円の利息です。
個人向け国債や投資信託、株式に投資し、適切に運用すれば、銀行の利息を上回るリターンを得られる可能性があります。
マネー誌の執筆が多いライターの安恒理さんは著書『マンガでわかる最強の株入門』(新星出版社)の中で、「株式投資の魅力─それはなんといっても大きなリターンが狙えることです。(略)株式投資なら1年の運用で、2倍(100%)どころかテンバガー(10倍株=1000%)だって夢ではありません」と述べています。
(3)お金をうまく働かせることが豊かな老後の秘訣
日本人の寿命が延び、人生100年時代といわれる現代だからこそ、老後に困らないようにお金に働いてもらう(投資をする)ことが大切だと訴える本もありました。
「著者のデヴィッド・ビアンキがこの本でくりかえし強調しているのは、収入の範囲内で生活すること、そして老後になって困らないようにおカネに働いてもらうことです」(デヴィッド・ビアンキ『13歳からの金融入門』/日本経済新聞出版)