余裕の老後と思いきや…
Sさん夫婦はお互いが貯めているから安心と思い続けていたのとは裏腹に、仕事で忙しいから、詮索することはしないようにした結果、60歳時点で、夫は900万円、妻は600万円、合計1,500万円でした。
Sさん夫婦の現役世代時には年収が2人合わせて1,200万円ありました。同額収入の年間収入別の金融保有資産額は2,000万円以上が平均額となっています。
さらに世帯主の年齢別、金融保有資産額の60歳代、70歳代の平均は2,317万円、2,360万円となっており、Sさん夫婦は共働きだったため余裕の老後と思いきや、貯蓄額が少なすぎて、老後破産にもなり得るのです。
老後破産に陥る世帯の特徴
日本弁護士連合会消費者対策委員会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」によると年金生活者(職業)の破産は全体の6.69%です。年代別による破産者の数では60歳以上の自己破産は25.72%となっています。
年齢に関係なく、破産理由の主な原因は、生活苦・低所得、病気・医療費、負債の返済(保証以外)、失業・転職、事業資金などがあげられます(複数回答順不同)。
老後破産に陥る理由には、生活水準が落とせない、定年退職後の起業、病気・医療費、負債の返済(住宅ローンなど)、子や孫への多額の援助、夫婦不干渉などがよくあるケースなのです。
破産回避のためにできること
Sさん夫婦は60歳定年後、仕事はほどほどに、趣味などを主にセカンドライフを考えていましたが、それは大きな誤算でした。老後破産しないためにも、65歳まで就労を主にライフプランを修正することにしました。さらに夫婦でコミュニケーションをとりながら、金融保有資産額を増やすことにします。
さらに65歳以降は就労日を減らしながら月々の生活費程度を賄い、公的年金の繰下げをすると、70歳以降、2人の年金は月約47万円となります。公的年金は終身年金のため、働けなくなったときのリスクは回避することができ、ゆとりある暮らしをすることができるでしょう。
老後破産を回避し、ゆとりある生活を送るには、現役時代からコミュニケーションをとりながら生活スタイルを見直し、賢く資産形成することが大切です。
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表
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