3―訪日外国人旅行消費額~コロナ禍前の95%へ回復、円安や物価高、購買意欲などが影響
1|全体の状況~2023年4-6月はコロナ禍前の95%へ回復、円安や物価高などで1人当たり消費額増加
訪日外国人旅行消費額は、訪日外客数と同様、2022年後半から回復傾向にあり、2023年4-6月(1兆2,052億円:1次速報値)ではコロナ禍前の同期(1兆2,673億円)の95.1%まで回復している(図表3)。なお、2023年1月から6月の半年間で見ると、91.6%の回復状況である。
前節で見た通り、足元の訪日外客数はコロナ禍前の約7割の水準である一方、消費額は9割を超えているため、訪日外国人1人当たりの消費額が伸びていることになる。
実際に、一般客21人当たりの旅行支出額を見ると、2019年4-6月では平均15万4,967円だが、2023年4-6月では平均20万4,509円(+4万9,542円、増加率+32.0%)へと増加している。
また、1人・1日当たりで見ても、やや増加している(2019年4-6月:1万9,371円→2023年4-6月:2万451円で+1,080円、増加率+5.6%)。これらの背景には、円安による割安感によって日本での滞在日数が伸びていること(平均泊数は2019年4-6月:8.0日→2023年4-6月:10.0日で+2.0日)や日本国内の消費者物価の上昇などの影響があげられる。
2 訪日外客からクルーズ客の人数(法務省の船舶観光上陸許可数に基づき観光庁推計)を除いたもの
2|国・地域別の状況~台湾と米国が首位、訪日外客数や滞在日数、購買意欲などが影響
国籍・地域別に訪日外国人旅行消費額を見ると、2019年4-6月で圧倒的に多いのは中国(36.7%)で、次いで台湾(11.2%)、韓国(9.7%)、米国(7.4%)、香港(7.1%)までが5%以上で続く(図表4(a))。なお、東アジアが6割強を占める。
一方、2023年4-6月で最多は台湾と米国(いずれも14.4%、ただし金額は台湾が若干多い)で、次いで中国(12.6%)、韓国(11.9%)、香港(7.6%)と続き(図表4(b))、訪日外客数と同様、中国が占める割合が大幅に低下していることで、その他のコロナ禍前からの上位国の占める割合が相対的に高まっている。
なお、各国籍・地域の全体に占める訪日外客数や消費額の割合の関係を見ると、訪日外客数が多い国籍・地域ほど消費額が多い傾向はあるものの、滞在日数や購買意欲の違いなどの影響も大きい。
例えば、韓国は、2023年4-6月の訪日外客数は最多だが(前節は1-6月の値だが4-6月でも同様に最多、図表略)、平均泊数(全目的で3.5日、観光・レジャー目的で3.3日)は全国籍・地域(10.0日)の半分以下と短いため、消費額は4番手にとどまる。
一方、訪日外客数が韓国に次いで多い米国は、特に観光・レジャー目的の平均泊数(10.9日)が長いため(全国籍・地域7.1日の1.5倍以上)、消費額は首位の台湾と並ぶ。
また、中国からの訪日は回復途上であり、観光・レジャー目的の平均泊数もさほど長くない(8.2日)。しかし、コロナ禍前に中国人の「爆買い」が見られていたように、旺盛な消費意欲によって、足元でも訪日外客数のわりには消費額が多い様子がうかがえる。
1人当たりの旅行支出額を見ると、2019年4-6月で最多はフランス(24万2,437円)で、次いで英国(23万7,353円)、豪州(23万3,424円)、中国(22万4,174円)、スぺイン(21万7,993円)、イタリア(20万7,203円)までが20万円を超えて続く(図表略)。
また、2023年4-6月で最多は英国(35万8,888円)で、次いで中国(33万8,238円)、豪州(33万7,070円)フランス(32万7,897円)、ドイツ(32万6,781円)、イタリア(31万8,401円)までが30万円を超えて続き、2019年と比べて、各国籍・地域ともおおむね増えている。
なお、ベトナムやインドなどからの訪日では平均泊数の長さが目立つが、これは前節でも触れた通り、技能実習生が多い影響と見られる。
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