「年収600万円・残業なし・福利厚生充実」ホワイト企業、社員は文句なしかと思いきや。…〈優秀な社員たち〉から“見限られてしまった”悲しいワケ

「年収600万円・残業なし・福利厚生充実」ホワイト企業、社員は文句なしかと思いきや。…〈優秀な社員たち〉から“見限られてしまった”悲しいワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

今や新入社員の30%が、3年で退職する時代。と言っても、「優秀でヤル気のある社員」に見限られる企業は、たとえいわゆる「ホワイト企業」と言われる会社だったとしても、見限られてしまう理由を抱えている、と自身も経営者である米澤晋也氏は言います。本記事では、米澤氏が優秀な社員から見限られてしまう企業の特徴とその対策を、実体験を交えて解説します。

薬局のPOPに書かれていたこと

事業定義を変えるためには、「顧客は何を買っているのか?」という問いに向き合う必要があります。企業側は、顧客が自社の商品やサービス、技術、ノウハウを買っていると思っています。しかし、顧客にとってそれらは自分が豊かになるための手段であり、本当に欲しいものは「自分の成功」です。

 

5年ほど前、私は重要な仕事がある日に風邪を引いてしまいました。病院に行く時間がなかったため、薬局で風邪薬を買うことにしました。薬局に行くとPOP(商品の特徴などが書かれたカード)が商品に付けられています。そこには通常、薬の成分や用法など「モノ」の説明が書かれています。

 

私が行った薬局のPOPにはこんな文言が書かれていました。

 

「眠くなりづらい風邪薬 今日1日を乗り切れます!」

 

私は迷わずその風邪薬をレジに持っていきました。私が手に入れたかったのは、「重要な仕事を乗り切る」という「コト」であり、風邪薬は、そのための手段なのです。そのPOPには、「人」…なりたい私の姿が書かれていたのです。

 

人に焦点を当てると、ビジネスが進化・変容する可能性があります。顧客が手にしたい「コト」をより充実させるための商品・サービスのラインナップが加わり、業態が変わるからです。

 

思考手順は次の通りです。

 

1.商品、サービス、人材、技術、ノウハウなど、今ある経営資源を洗い出す。

 

2.その経営資源により、既存客が手にしている「コト」を明確にし、それがより充実するように経営資源を磨く。あるいは新たな商品・サービスを付け足す。

 

3.自社の経営資源を応用した新しい分野を開拓する。


私の知り合いに「2」を行った企業があります。弁護士、司法書士、税理士などと提携して、円満かつ税制的に有利な相続対策サービスを扱っている企業です。

 

同社では、顧客が望む「コト」を徹底的に考えた結果、相続は手段であり、本当に顧客が欲しいのは、「余生を大切な人と豊かに暮らすこと」と定めました。

 

そう定義づけをしたことにより提案の質が変わりました。また、旅行会社と提携して「会いたい人に会いに行く旅」や、自叙伝の作成サービスなどのサービスが発案されました。
「相続サービスを扱っている企業」から、「充実した余生を創造する企業」に変容したのです。

 

富士フイルムは「3」を行いました。デジタル化によってフィルム事業が縮小する中、これまでに培った酸化防止の技術を応用し、お肌の老化防止に効果がある基礎化粧品を開発しました。

 

成熟社会にあり、ビジネスの形を変える必要性に迫られている企業が多くあります。事業定義を変え、現業を守りながら変容することができれば、イノベーティブな人材の定着を高め、安全にイノベーションを加速させることができるでしょう。

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