投資家から集めた資金で不動産を購入し、その賃貸収入あるいは売却益を投資家に分配する金融商品の「不動産投資信託」。本連載は、その「不動産投資信託」の基本的な知識について紹介していきます。

投資家から集めた資金を「不動産」に投資

最近、安定的な高収益が期待できる投資の一手段として、「不動産投資信託」という言葉を耳にする機会が増えました。

 

不動産投資信託は投資信託の一種であり、投資家から集めた資金により、オフィスビル、商業ビル、マンションなどの不動産を購入し、その賃貸収入あるいは売却益が投資家に分配される金融商品です。一般には、リート(REIT:Real Estate Investment Trust)と呼ばれています。

 

このリートが誕生したのはアメリカで、日本に本格的に導入されたのは2001年からです。頭に「JAPAN」の「J」をつけてJリート(J-REIT)と呼ばれています。

 

投資信託には契約型と会社型があります。したがって、リートについても両者のタイプがあり得ますが、現存するJリートは基本的に会社型投信の形をとっています。

 

会社型では、投資法人が設立されます。投資法人には、最高意思決定機関である投資主総会が置かれ、執行役員、監督役員といった機関の選任権を有します。また、これらからなる役員会ならびに会計監査人といった機関が置かれます。投資法人自体は、「器」のようなものにすぎず、資産の運用をすることはできません。実際の資産の運用等は資産運用会社等に委託することとなっています。

投資対象によって分かれるリートの種類

リートは、投資対象不動産の種類に応じて単一用途特化型と複数用途型とに分けられることがあります。単一用途特化型は、特定の用途の不動産に投資するもので、以下のようなものがあります。

 

①オフィスビル特化型

②住居特化型

③商業施設特化型

④物流施設特化型

⑤ホテル特化型

 

一方、複数用途型とは、複数の用途の不動産に投資するもので、例えば、オフィスビルと商業施設といった2つの用途を組み合わせる「複合型」や、3つ以上の用途もしくは用途を限定しない「総合型」という2つのタイプが存在します。

 

【図表1】J リートの用途はオフィスが過半数を占めている

一般社団法人不動産証券化協会「ARES J-REIT REPORT Vol.42 May 2013」をもとに作成
一般社団法人不動産証券化協会「ARES J-REIT REPORT Vol.42 May 2013」をもとに作成

再び活況を呈しつつある「Jリート市場」

Jリートの資産規模、すなわち、保有不動産の取得価格の合計は2013年4月時点で10兆円に到達しています。保有物件は2253棟で、総賃貸可能面積は2000万m²です。

 

また、東証(東京証券取引所)に上場されているJリート全体の価格動向を示した東証リート指数は、2003年3月31日を基準日として時価総額を1000としていますが、2013年5月1日から5月31日までで1300から1600の間を動いています。2008年に起きたリーマンショックや2011年の東日本大震災の影響により、一時、停滞を余儀なくされたこともありましたが、現在、Jリート市場は再び活況を呈しつつあります。

 

【図表2】Jリートの資産規模の推移

一般社団法人不動産証券化協会「ARES J-REIT REPORT Vol.42 May 2013」をもとに作成
一般社団法人不動産証券化協会「ARES J-REIT REPORT Vol.42 May 2013」をもとに作成

本連載は、2013年12月2日刊行の書籍『資産運用と相続対策を両立する不動産信託入門』から抜粋したものです。その後の法改正は反映されておりませんので、ご留意ください。

資産運用と相続対策を両立する 不動産信託入門

資産運用と相続対策を両立する 不動産信託入門

編著 千賀 修一

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢の不動産オーナーなどは、老後の不動産管理や賃貸経営、そして相続に関して、さまざまな不安要素が生じてくるものです。不動産管理に関する知識がなかったり、あるいは財産を目当てとした思わぬトラブルなどが発生したりし…

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