4つの機関によって運用されるJリート
Jリートでは、株式会社の株式に相当する「投資証券」が発行されます。投資家が投資証券を購入し支払った代金等をもとに、投資対象となる不動産が購入され、運用されていきます。このようなJリートのスキームには、投資法人、運用会社、資産保管会社、事務受託会社という4つの機関が関わります。
具体的な流れとしては、まずJリートの本体である投資法人が投資証券を発行します。そして、投資家は、投資証券を購入する対価として、投資法人に代金を支払います。このようにして、投資法人に資金が集められます。
そして、投資法人は、不動産運用を専門とする「運用会社」に資産の運用を委託します。運用会社は、投資対象とする不動産の選定やどのような条件で不動産を賃貸するかなどを決定します。
また、投資法人は、保有する不動産の権利証の保管を「資産保管会社」に委託し、会計、納税、投資家に対する分配等の一般事務を「事務受託会社」に委託します。現在までのところ、この資産保管会社や事務受託会社には信託銀行が就任しています。
このような仕組みの中で確保された賃貸収入、不動産売却益等の収益が最終的に投資家に分配されることになります。このJリートの仕組みを以下の図表にまとめてみましたので、ご参考になさってください。
【図表】J リートの仕組み
現在、証券取引所に上場しているJリートは、投資家が中途で出資の払い戻しを請求できない「クローズドエンド型」という仕組みとなっています。
このクローズドエンド型が採用されている大きな理由としては、①安定的な投資を可能にする、②不動産は流動性が低く、機動的に売却することが容易ではない、という2点が挙げられます。
もっとも、Jリートは、後述のように証券取引所に上場されていることから、投資家は、市場で投資証券を売却することによって投資資金を回収することが可能です。
Jリートの投資証券は証券会社等で購入可能
Jリートの投資証券を保有することで、投資家には株式の配当金に相当する分配金が定期に支払われます。ちなみに、多くのJリートは年に2回分配金を支払っています。
株式の場合には、会社が上げた利益から法人税や内部留保を引いた金額を原資に配当金の分配を行っているのに対して、Jリートでは利益の90%以上を分配金に回すといった一定の条件を満たせば実質的に法人税が免除され、また内部留保もないことから、より高額の分配金を投資家に配当することが可能となっています。
Jリートは証券取引所に上場されており、証券会社等を通じて購入することが可能です。投資口1口当たりから購入することができ、価格は市況に応じて変化しますが、数万円から数十万円程度がほとんどです。
また、Jリートの情報は、さまざまな形で広く公開されているので、それを手がかりに銘柄選びを行うことができます。例えば、銘柄や投資口の価格は金融関連のホームページや新聞等で確認することが可能です。
また、財務状況や個別物件の収支、鑑定評価額、空室率等の保有資産状況も決算説明資料等を通じて公表されており、借り入れの実施や購入した不動産など重要な決定に関する情報についても、各社のホームページ等で適時に開示される仕組みとなっています。