どうしたらインフレ下でも資産を減らすことなく、自分・家族を経済的に守り、持続可能で豊かな生活を確保できるか。その基本となる考え方を、経済評論家・政策アナリストの池田健三郎氏は著書『「新しい資本主義」の教科書 シン・インフレ時代、あなたを守るお金の心得』(日東書院本社)の中で伝授しています。考え方ひとつで資産は増やせるのだとか。そこで本連載では、その考え方を本書から一部抜粋して紹介します。

リスクのバランスをうまく取るのが資産運用の正解

株で考えると、リスクプレミアムはもちろん銘柄によっても変わってきます。日本一の企業であるトヨタ自動車が近い将来に倒産することは考えづらいので、保有しているトヨタ株の元本がゼロになるリスクは限りなく低いものです。

 

そうすると、当然リスクプレミアムは中長期の投資で見ても低くなるということになりますし、この先どうなるか分からない立ち上がったばかりのITベンチャー企業であれば、逆にリスクプレミアムは高くなります。

 

2022年には米国のみならず全世界を震撼させた暗号資産大手取引業者「FTXトレーディング」の経営破綻がありました。

 

事後の報道をみると、暗号資産取引業者はそもそもまともな売買を行っておらず、完全なポンジ・スキーム(集めた出資金を投資に運用しているように見せかけておきながら、実際は運用などはせず、集めたお金の一部を出資者である顧客に配当する古典的詐欺手法)であったことが判明していますが、そうとは知らず大金を注ぎ込み全財産を失った人もいたようです。

 

自分の大切なお金を守るということであれば、あれほどリスクの高いものに大きく軸足を乗せるのは非常に危険だということを改めて教えてくれたような気がします。

 

基本的にオーソドックスな考え方を大切にして、それを踏まえたうえで自分はどれぐらいのリスクを取れるか、バランスを取りつつトータルで考えていく―そうした常識的なやり方が、やはり資産運用の正解だと筆者は考えます。

 

無論、そう考えて運用しているつもりの筆者でもなかなかうまくいかないのが投資の難しいところでもあり、面白いところでもあります。

 

実際、心理的ストレスを抱えないよう、長期運用を目指しているため、短期での振れはあるものの、最終的に大きな損失を被ることはなく、リスクに見合った利益は得られています。

 

もっとも、大きなリスクを伴うような乾坤一擲の大勝負をする意思はありませんし、専業投資家として資産運用だけで生活することも、働くのをやめることも当然ありませんが、その時々の情勢を踏まえてできることはやっておくことで、老後に備える基礎作りは進行していると思います。

 

※本連載は、池田健三郎氏による著書『「新しい資本主義」の教科書 シン・インフレ時代、あなたを守るお金の心得』(日東書院本社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「新しい資本主義」の教科書 シン・インフレ時代、あなたを守るお金の心得

「新しい資本主義」の教科書 シン・インフレ時代、あなたを守るお金の心得

池田健三郎

日東書院本社

日銀出身のアナリストが教える、これからのマネー戦略! デフレ時代の終焉――いま「動かないお金」を持つのはキケンです。 インフレ時代のお金の不安、解決します。 長らくデフレが続いていると思っていたら、いつの…

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