リスクのバランスをうまく取るのが資産運用の正解
株で考えると、リスクプレミアムはもちろん銘柄によっても変わってきます。日本一の企業であるトヨタ自動車が近い将来に倒産することは考えづらいので、保有しているトヨタ株の元本がゼロになるリスクは限りなく低いものです。
そうすると、当然リスクプレミアムは中長期の投資で見ても低くなるということになりますし、この先どうなるか分からない立ち上がったばかりのITベンチャー企業であれば、逆にリスクプレミアムは高くなります。
2022年には米国のみならず全世界を震撼させた暗号資産大手取引業者「FTXトレーディング」の経営破綻がありました。
事後の報道をみると、暗号資産取引業者はそもそもまともな売買を行っておらず、完全なポンジ・スキーム(集めた出資金を投資に運用しているように見せかけておきながら、実際は運用などはせず、集めたお金の一部を出資者である顧客に配当する古典的詐欺手法)であったことが判明していますが、そうとは知らず大金を注ぎ込み全財産を失った人もいたようです。
自分の大切なお金を守るということであれば、あれほどリスクの高いものに大きく軸足を乗せるのは非常に危険だということを改めて教えてくれたような気がします。
基本的にオーソドックスな考え方を大切にして、それを踏まえたうえで自分はどれぐらいのリスクを取れるか、バランスを取りつつトータルで考えていく―そうした常識的なやり方が、やはり資産運用の正解だと筆者は考えます。
無論、そう考えて運用しているつもりの筆者でもなかなかうまくいかないのが投資の難しいところでもあり、面白いところでもあります。
実際、心理的ストレスを抱えないよう、長期運用を目指しているため、短期での振れはあるものの、最終的に大きな損失を被ることはなく、リスクに見合った利益は得られています。
もっとも、大きなリスクを伴うような乾坤一擲の大勝負をする意思はありませんし、専業投資家として資産運用だけで生活することも、働くのをやめることも当然ありませんが、その時々の情勢を踏まえてできることはやっておくことで、老後に備える基礎作りは進行していると思います。