どうしたらインフレ下でも資産を減らすことなく、自分・家族を経済的に守り、持続可能で豊かな生活を確保できるか。その基本となる考え方を、経済評論家・政策アナリストの池田健三郎氏は著書『「新しい資本主義」の教科書 シン・インフレ時代、あなたを守るお金の心得』(日東書院本社)の中で伝授しています。考え方ひとつで資産は増やせるのだとか。そこで本連載では、その考え方を本書から一部抜粋して紹介します。

リスクの分だけ利回りが高い「リスクプレミアム」

今手元にある資金を、自分の将来や家族を守るために役立てようと思ったときに、運用の基本となる考え方、運用の方針というものをしっかり持つことが大切です。

 

目の前の事象に振り回されて、運用方針をフラフラ変えるのは良くありません。

 

投資では未来を予測することが重要です。未来がどうなるのかは誰にも分かりません。筆者は「日本にインフレがやってくる」という予測を下に皆さんの資産を増やすヒントを示しているつもりですが、もしかしたら思ったほどのインフレは来ないかもしれませんし、日本に明るい未来が訪れる可能性とて皆無ではありません。

 

ただ、いつまでもそう言っていては、利息がないに等しい銀行口座にただ単にお金を眠らせておくことになります。

 

そこで、できるだけオーソドックスに考えていって、「これは大きく外れないだろう」という予測(仮説)を成立させて、それに基づき行動していく必要があります。

 

例えば東京証券取引所(東証)のプライムに上場している企業であれば、経営者がよほど不適切な行動をとらない限り、一時的に株価が下がることはあっても、倒産せずに普通に企業活動を続けていけば、中長期には株価は上昇すると考えられています。業績を上げられる企業もあれば、そうでない企業もあります。

 

しかし株価を平均した日経平均やTOPIXのような指標で見れば、経済が全体として成長していけば右肩上がりになるはずなので、日経平均やTOPIXに連動したETFのような金融商品を保有しているだけで、個別の企業の業績を気にすることなくおのずと利益を上げていく確率が高まります。

 

元本が保証されない株式を持つと、リスクを取っている分だけ預金金利よりも高い利回りが期待できるのは当然です。

 

これは「リスクプレミアム」という考えで、危ない橋を渡ったことによって得られる対価の部分をいいます。例えば株のような大きな利益を期待できる利回りから、確実に償還される国債などの利回りを差し引いた部分がリスクプレミアムです。

次ページリスクのバランスをうまく取るのが資産運用の正解

※本連載は、池田健三郎氏による著書『「新しい資本主義」の教科書 シン・インフレ時代、あなたを守るお金の心得』(日東書院本社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「新しい資本主義」の教科書 シン・インフレ時代、あなたを守るお金の心得

「新しい資本主義」の教科書 シン・インフレ時代、あなたを守るお金の心得

池田健三郎

日東書院本社

日銀出身のアナリストが教える、これからのマネー戦略! デフレ時代の終焉――いま「動かないお金」を持つのはキケンです。 インフレ時代のお金の不安、解決します。 長らくデフレが続いていると思っていたら、いつの…

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