現在の資産を四つに分けてリスク分散を図る
筆者が提案する資産運用の考え方の一例(あくまで一例です)として、資産の「4分法」をご紹介しておきます。
まず、資産を(1)元本保証されているもの、(2)保証されていないもの、の二つに振り分け、そしてそれぞれ(A)円建てのもの、(B)外貨建てのもの、を保有してリスク分散を図るという手法です。
(1)-(A)の「元本保証ありで円建て」のカゴには、普通預金や定期預金、生命保険(海外資産に連動していないもの)等が入ります。
ただ、この(1)-(A)のカゴはインフレに弱い特徴があります。元本が保証されるものは、総じてこの傾向があり、これからインフレに向かう局面では利回りの多くがインフレによって相殺されてしまい、逆にリスクをはらむ可能性があることを念頭に、保有することが良いかも知れません。
少しチャレンジングでリスクも伴う(2)-(A)の「元本保証なしで円建て」カゴに入る代表的なものは、日本株への投資です。
ただし、株といっても短期的に売り買いを繰り返して利益を得るといった保有パターンではなく、長期的な株価上昇を見込んだ値上がり益(キャピタルゲイン)と、配当金(インカムゲイン)や株主優待などの両面を目的とした長期的・安定的な保有を考えてください。
特定の銘柄に絞り込んでの保有に抵抗がある人や、銘柄選定に悩む人は、日本株の投資信託やETF(上場投資信託)、REIT(リート:不動産投資信託)も視野に入れて検討すると良いかもしれません。
株式以外では、不動産、コモディティ(金やプラチナ、原油、穀物などの実物資産)などもこのカテゴリーに入ります。十分な余裕資金があり、リスクをとることが可能であれば、暗号資産や先物取引も対象にできる可能性があるでしょう。
四つのカゴの中でさらに細分化して管理すべし
次に(1)-(B)、(2)-(B)の外貨建ての資産運用があります。
(1)-(B)は外貨預金や外国債、外貨建てMMF、そしてやり方次第ではFX(外国為替証拠金取引)も入ります。
いわゆる「富裕層」で潤沢な余裕資金がある人は、プライベート・バンク(富裕層専門に資産運用サービスを提供している銀行に相談し、運用の一部を委ねる手法)での運用も検討の余地があるでしょう。
ただし、外貨を持つだけで「為替変動リスク」や「カントリーリスク」がありますので、外貨での元本が保証された商品であっても、実質は(2)に近い性質を持っている点には留意する必要があります。
しかも、同じ外貨預金でも米ドルかトルコ・リラかではリスクが大きく異なります。
ドルやユーロ、イギリス・ポンドで運用するものは(1)-(B)、発展途上国や新興国の通貨で運用するものは(2)-(B)のカテゴリーに入ります。他にも(2)-(B)には外国株、海外不動産(ランド・バンキング)、FXなどが入ります。
それぞれのカゴの中で、さらにハイリスク・ハイリターンを承知したうえで投資するカゴ、失っても構わないギャンブルや遊びに近い資金使途に該当するカゴなど、自身の考え方に合わせて細分化して管理するのが良いと思います。