資産は集中投資せず分散して保有しておくべし
日本では、50代かつ2人以上の世帯は600万円程度の金融資産があるということですが、その内訳を見ると「預貯金」が4割以上と最も高いウエイトを占めています。
先に述べたように、デフレ下ならばいざ知らず、これからインフレが来るかもしれない、という時代にあっては、まとまった資金を現金(タンス預金)や普通預金で保有するのが最も資産を棄損するリスクが高い行為といえます。
当面必要となる生活資金以外は、資産の運用方法としては採るべきではないでしょう。
現在、金利0.001%の普通預金や0.002%の定期預金をしていてもインフレ下では価値が目減りしていくだけです。そこで、その600万円のうち、単に銀行に眠らせてあるだけの200〜300万円をどのように運用すべきかが次の課題となります。
具体的な投資商品を考える前に身につけておきたいのが、投資の基本中の基本である「分散投資」の考え方です。
投資の本を読めば必ず出てくる事柄ですので、ご存じの方も多いと思いますが、いかに本書が投資指南本でないとはいえ、ここは説明をすべて省略するわけにはいかないので、以下でごく簡潔に説明しておくことにします。
投資の世界では、「卵は一つのカゴに盛るな」という有名な言葉があります。
例えば、卵という壊れやすい資産を三つ持っている場合、全てを一つのカゴに入れて置いておくと、もしそのカゴを床に落としてしまったら、全ての卵が割れて食べられなくなってしまいます。
しかし、三つの卵を一つずつカゴに分けて、それぞれ違う場所に置いておけば、もしも一つのカゴを落として割ってしまっても、残り二つは無事のままです。
つまり、資産を一つの商品に集中投資するのではなく、資産を多様な形で分散して保有しておくことで、不測の事態が起こったとしても被害を最小に抑えることができるという考えです。
ユダヤの大富豪の教えを守れば何か起きても大丈夫
ユダヤの大富豪が子々孫々に伝達しているという「財産三分法」という考えがあります。
それを現代に当てはめて考えると、全資産を三つに分け、「債券、株式、不動産で保有する」というものです。
インフレになって現金の価値が下がっても株式や不動産があり、不動産が暴落しても現金や株がある―このやり方で、ユダヤの大富豪は激動の時代を生き抜いてきたのです。この手法や考え方は、今日の私たちにも大いに役立ちます。
さらに、どうしても必要な現金についても、これを複数の銀行に分散して預けたり、一部を外貨にしたり、株式の場合は同業種のものを重複して保有しないようにしたり、不動産も国内だけではなく海外物件も視野に入れるなど、「何かが起こったときに、一つはダメでも残りは大丈夫」というリスクを減らす戦略を立てていくことが非常に重要になります。