どうしたらインフレ下でも資産を減らすことなく、自分・家族を経済的に守り、持続可能で豊かな生活を確保できるのか。その基本となる考え方を、経済評論家・政策アナリストの池田健三郎氏は著書『「新しい資本主義」の教科書 シン・インフレ時代、あなたを守るお金の心得』(日東書院本社)の中で伝授しています。考え方ひとつで資産は増やせるのだとか。そこで本連載では、その考え方を本書から一部抜粋して紹介します。

50代の2人以上の世帯の金融資産保有額は600万円

これからインフレが到来することが見込まれる中、「資産防衛といっても、そもそも防衛するお金などありません」という声も聞こえてきます。では、50代の夫婦、あるいはそれに子どもがいる世帯では、どれくらい資産を持っているのでしょうか?

 

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019年)」によると、50代の2人以上の世帯の金融資産保有額は平均で1194万円となっています。

 

「そんなに持っているのか」と驚く方が多いと思いますが、平均値というのはごく一部の資産家が数値を押し上げてしまいます。そこで、世間一般の実態が分かる中央値(全員を数値順に並べてちょうど半分の順位にいる人の数値)で見てみると、600万円とほぼ半分程度になってしまいますが、こちらの金額のほうがしっくりくる方が多いかもしれません。

 

金融資産保有額といっても、銀行の預金額という意味ではありません。預貯金はもちろん、生命保険、個人年金保険、株式や投資信託の有価証券など、すでに投資に使われているお金もそこには含まれています。

 

それでも600万円という額は、夫婦で分けたとしても各300万円ずつですから、サラリーマンの平均年収400万円台を念頭にするとその7割程度に相当するかなり大きな数値です。まだ子育て中で養育費にお金もかかることでしょうから、想像よりは多いと感ずる方も少なくないでしょう。

 

とはいえ、600万円では人生100年時代の老後生活に完全に備えるのは難しいですから、退職金をあてにしている世帯も多いのではないでしょうか。もちろん、退職金の出ない自営業の方などもたくさんいるはずです。

 

この先、仕事がどうなるか分かりませんし、大災害が起こるかもしれません。はたまた病気で働けなくなるリスクも考えられます。こうした状況では、働かなくても2年程度は生活できる金額を留保しておくのが理想的です。

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※本連載は、池田健三郎氏による著書『「新しい資本主義」の教科書 シン・インフレ時代、あなたを守るお金の心得』(日東書院本社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「新しい資本主義」の教科書 シン・インフレ時代、あなたを守るお金の心得

「新しい資本主義」の教科書 シン・インフレ時代、あなたを守るお金の心得

池田健三郎

日東書院本社

日銀出身のアナリストが教える、これからのマネー戦略! デフレ時代の終焉――いま「動かないお金」を持つのはキケンです。 インフレ時代のお金の不安、解決します。 長らくデフレが続いていると思っていたら、いつの…

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