※画像はイメージです/PIXTA

贈与税は、個人から経済的な価値のあるモノをタダでもらった場合に、もらった側に課せられる税金です。日本における税制では、もらった側の人に税金が課せられ、あげた側の人には税金はかかりません。ただ、財産をもらったらどんな場合でも贈与税がかかるわけではありません。特例を使うことで非課税制度を適用できるものもあります。みていきましょう。

贈与税が非課税になる6つのケース

年間110万円を超える財産をもらっても例外的に贈与税がかからないケース、非課税になる場合があります。それが、政策などによって決められている贈与税に関する様々な特例です。これらをうまく使うことで、贈与税を抑えることができます。

 

①親子間であれば2,500万円まで一旦無税:相続時精算課税制度

60歳以上の父母・祖父母から18歳以上(※)の子や孫に対する贈与であれば、2,500万円までは「一時的に」無税で贈与を行うことができます。

 

この制度を相続時精算課税制度と言います。2,500万円までなら贈与時に贈与税はかかりませんが、贈与者が死亡した場合に相続税がかかります。この制度の要件や使い方については、「相続時精算課税制度とは?必要書類・手続きなどをわかりやすく解説!」を参照してください。

 

※贈与が令和4年3月31日以前の場合は「20歳以上」となります。

 

②自宅建築の資金であれば最大1,000万円まで非課税:住宅取得等資金の特例

父母や祖父母から自分が住むための住宅を購入するための資金の贈与を受けた場合については、最大1,000万円まで贈与税が非課税になります。これを住宅取得等資金贈与の特例といいます。

 

③教育資金であれば最大1,500万円まで非課税:教育資金の一括贈与の特例

父母や祖父母から教育資金の一括贈与を受けた場合には最大1,500万円まで贈与税が非課税になります。

 

教育資金とは、学校等の入学金や授業料のほかに予備校や塾等の費用も含まれます。このうち、学校以外に支払う資金については500万円という上限があります。通常、この制度を使わなくても扶養親族間で教育資金を必要な都度贈与する分には贈与税はかかりません。この制度は、将来使う予定の資金を一括でまとめて贈与する場合に適しています。

 

ただし、この制度を利用するためには信託銀行に「教育資金口座」の開設をする必要がある他いくつか要件があります。

 

④結婚20年以上の夫婦で自宅の贈与なら2,000万円まで無税:贈与税の配偶者控除

結婚してから20年以上経つ夫婦間で、自宅不動産(またはその購入資金)を贈与した場合には、最大2,000万円まで贈与税の課税対象から控除できます。この特例を「贈与税の配偶者控除の特例」または、通称「おしどり贈与」といいます。この特例の適用を受けるためには、納税額がゼロであっても税務署に贈与税の申告を行う必要があるので注意が必要です。

 

⑤結婚・子育て資金の一括贈与で1,000万円まで非課税

父母や祖父母からの結婚・子育て資金の贈与について、最大1,000万円まで非課税になります。18歳以上50歳未満(※)の人が父母や祖父母など直系尊属から結婚や子育てのための資金の贈与を受けた場合には、最大1,000万円まで非課税となります。このうち、結婚のための資金については300万円という上限があります。

 

通常、この制度を使わなくても扶養親族間で結婚や子育てに関する費用を必要な都度贈与する分には贈与税はかかりませんが、この制度を利用することで将来使う予定の資金を一括でまとめて贈与することができます。

 

この制度を利用するためには、贈与を受けた人が金融機関に専用の口座を開設し、その金融機関を通して税務署に届け出を行う必要があります。

 

※贈与が令和4年3月31日以前の場合は「20歳以上50歳未満」となります。

 

⑥障害者への贈与で最大6,000万円まで非課税

特別障害者への贈与については、最大6,000万円までが非課税となり、特別障害者以外の特定障害者への贈与は最大3,000万円までが非課税となります。この制度についてさらに詳しくは、国税庁HPの「障害者と税」を参照してください。

 

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贈与税について、様々な角度から解説をしてきましたが、生前贈与によって相続税を節税することは一般的な対策であり、相続対策の基本といっても過言ではありません。ただ、そのためには贈与税の仕組みをきちんと理解し、その対策を計画・実行することが肝要です。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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