食料品~「JT以外」の投資妙味がある企業は?~
食料品はその名のとおり、食品セクターに分類されます。
食品企業でおもしろいのは、総合食品企業というものが少なく、それぞれ得意な分野が明確に分かれている点です。
総じて利益率は高くなく、売上高営業利益率が10%を超える銘柄は極めて稀。利益率が10%に近づくほど優良企業ということを知っておきましょう。
JT
食品セクターでは、JTの存在感が圧倒的です。売上高営業利益率は20%を超えており、たばこ会社では世界5位のグローバル寡占企業です。
たばこ業界は衰退産業とよくいわれますが、新規参入が難しく、少数の企業が生産や販売市場を支配している状態が、世界的に続いています。また、利益率の高さから見ても、儲かる業種といって問題ないでしょう。
長い目で見るならば、配当利回りが6%程度あれば、配当込みのトータルリターンで考えて、魅力的な投資先の一つだと思います。
アサヒグループホールディングス
アサヒグループホールディングスは、缶ビールの「アサヒスーパードライ」で有名ですね。現在は、カルピスを完全子会社として事業を展開していたり、子会社のアサヒグループ食品が「ミンティア」を販売していたりと、事業の幅を拡大しています。
実質累進配当で連続増配を続けており、株価が下がって配当利回りが上昇した時こそ、投資チャンスです。
コロナショックの際、株価がかなり下がったので、私も投資を検討しましたが、そうこうしているうちに株価はスルスルと上昇。結局、チャンスを逸してしまいました。
またチャンスがあれば投資を検討したいと考えていたところ、2022年12月に株価が下落したため、そのタイミングで新規投資しています。
キリンホールディングス
キリンホールディングスは、ビール業界ではアサヒグループホールディングスと双璧。
また、医薬品、バイオを主力としている協和キリンを傘下に収めており、医薬事業など健康領域にも進出しています。実質累進配当で減配の可能性はさほど高くありませんが、業績にムラがあり、ここ数年は低迷しています。
業界トップ級の企業ではありますが、連続増配というわけでもなく、長期で保有するには少し覚悟がいる銘柄です。
味の素
味の素は、調味料国内首位の総合食品メーカーです。
アミノ酸技術に強みがあり、アミノバイタル等の関連商品をみなさんもよく見かけるでしょう。以前は業績が振るわない時期もありましたが、最近の業績は好調で、株価も上昇へと転じています。
配当利回りは1%台半ばで推移していて、売上高営業利益率も10%前後まで上昇。ここからも、収益率の向上が見て取れます。
ただし、過去10年間の業績の推移にブレがあるため、投資対象としては検討を控えていますが、食品業界のキープレーヤーとして頭の片隅に置いておいて損はないでしょう。
キッコーマン
キッコーマンは醤油首位で、海外売上高比率6割を超えるグローバル企業。業績も安定感があり、売上高営業利益率は10%に迫る水準です。
自己資本比率も70%を超えていて、財務基盤は堅牢だといえます。
このように、企業としては申し分がないのですが、業績が堅調なだけに、株価も割高な水準が続いています。株価が下がらないため、配当利回りが1%を上回ることもほぼなく、その点を納得できなければ、投資することは難しいかもしれません。
醤油業界において天下無双のキッコーマンに関しては、大暴落時に投資を検討する銘柄としてリストアップしつつ、実際に投資機会がおとずれることは、ほとんどないと思います。
その他
食品業界には他に、乳酸菌飲料首位のヤクルト、即席麺首位の日清食品ホールディングス、チョコレート・ヨーグルト首位の明治ホールディングス、マヨネーズ・ドレッシング首位のキユーピー、トマト加工品首位のカゴメ、カレールウ首位のハウス食品グループ本社、スナック菓子首位のカルビー等々、特定の分野でトップとなっている優良企業がたくさんあります。
それらの多くが実質累進配当で、株主優待を実施している銘柄も多々あるので、株価が暴落した時には投資を検討してみるのもおもしろいかもしれません。