株式市場の各セクターにどのような企業が存在しているのか。どの企業が業界ナンバーワンであるのか。オンリーワン企業にどのような企業があるのか。株式投資するなら、理解したいですよね。そこで、本連載では長期株式投資氏による著書『半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資 日経平均リターンを3.86%上回った“割安買い”の極意』(KADOKAWA)から一部抜粋して、株価が暴落した時に買いたいかどうかの銘柄を以下の4段階で評価して紹介します。◎⇒ぜひ買いたい、〇⇒買いたい、△⇒検討したい、―⇒原則として検討の対象とはしていない。長期保有を前提とし、時価総額(企業価値評価の指標。株価×発行済み株式数で計算)、収益性、財務健全性、成長性、配当の持続可能性などから、複合的に判断しています。各セクターにおける主要企業を理解し、投資先として検討しましょう。今回は医薬品業界の企業です。

医薬品~減配なし銘柄の買い時とは?~

医薬品は単一業種で医薬品セクターになります。

武田薬品工業

武田薬品工業は国内首位の製薬会社。かつては鉄壁の財務基盤に多くのブロックバスター(年間1,000億円以上を売り上げる超大型の医薬品)を保有する日本屈指の優良企業で、私も実際に投資していました。

 

ですがその後、兆円単位の企業買収を繰り返して規模こそ拡大したものの、財務基盤は大幅に悪化。

 

配当は維持しているものの、タコ配当(利益の範囲内では配当できず、剰余金から取り崩して配当すること)となっている年度も多く、安定感を欠いています。

 

実質累進配当とはなっていますが、当面、増配は期待できず、現在のところ投資先としては微妙という認識で、私も現在は投資を控えています。

アステラス製薬

アステラス製薬は国内2位の製薬会社で、海外売上高比率80%を誇るグローバル企業です。上場してから今日に至るまで、減配したことがありません。

 

また、定期的な自社株買いと消却をおこなっており、株主還元に非常に積極的な企業といえるでしょう。

 

自社株買いのメリットをお伝えすると、これによって1株利益は上昇します。

 

また、自己株式を消却することにより、自社株買いで取得した株式が再び市場で売り出される可能性を払拭してくれるため、投資家にとって安心材料となるのです。

 

株主還元は、第一に配当、余力があれば自社株買いというのが一般的です。

 

以上のことから、定期的に自社株買いを実施できているアステラス製薬は、業績も安定している企業といっても問題ないでしょう。配当利回りが突発的に3%を超えることがあり、その時が買い場の目安と考えます。

第一三共

第一三共は国内3位の製薬会社です。パイプラインと呼ばれる新薬候補が豊富で、将来の成長期待も高く、時価総額では業界トップとなっています。株主還元政策は、累進配当に加え、機動的な自己株式取得をおこなうとしています。

 

2025年度目標としてDOE(株主資本配当率)8%以上を掲げており、株主還元に積極的な姿勢を示している企業です。

 

ただし、優良企業ではありますが、投資家目線では、既に株価が上がりすぎていて、投資するには割高すぎると認識しています。

 

高い期待が株価に織り込まれ、高いPERに1%を切る低い配当利回りとなっており、現在の株価水準が続くのであれば、配当投資という観点からは近づかない方が無難でしょう。

中外製薬

中外製薬はスイスの世界的製薬会社であるロシュの子会社で、国内4位の製薬会社。

 

売上高営業利益率は安定的に30%を超えており、また、自己資本比率は70%台後半と財務基盤も鉄壁です。

 

特別配当を除いた普通配当は、実質累進配当となっています。暴落時に株価が安くなり、配当利回りが上昇するようなことがあれば、ぜひ投資したい銘柄の一つでしょう。

 

ここ数年、配当利回りは1~2%で推移しており、配当利回りが2%を大きく超えてきた時には、投資を検討するに値します。

大塚ホールディングス

大塚ホールディングスは、国内5位の製薬会社。

 

事業領域は医薬品にとどまらず、カロリーメイトやポカリスエット等の食品・飲料事業において多数のブランドを抱えるトータルヘルスケア企業です。

 

自己資本比率は70%を超えており、財務基盤も堅牢で業績も安定しています。

 

ただ、配当は実質累進配当となっているものの、ここ数年は1株当たり100円配当が続いています。株価が大きく下げた時に投資して、配当利回りが高まった状態で保有しておきたい銘柄です。

 

ここ数年の配当利回りは2~2.5%程度で推移していますので、この2.5%を超えてきた時に投資を検討してみましょう。

エーザイ

エーザイは国内6位の製薬会社。マーケットの期待値が高く、PERは高い水準で推移しています。実質累進配当となっていますが、ここ10年間で増配は1回のみ。増配率は7%弱でした。

 

株価は割高な水準で推移していることから、配当投資家としては手を出しにくい銘柄です。

 

※本連載は、長期株式投資氏による著書『半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資 日経平均リターンを3.86%上回った“割安買い”の極意』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。
※本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものです。
※本連載の情報を利用した結果による損害、損失については、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資 日経平均リターンを3.86%上回った“割安買い”の極意

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