2.分散投資を意識する
新NISAの非課税枠を最大限に活用するためには、分散投資を意識することが必要です。売却時に非課税となるのは利益が出ていないと意味がありません。個別株式に集中させてしまうと、業績の悪化、競争の激化、法的問題、経営陣の変更など、企業に関する情報や出来事が株価に影響を与える可能性があります。世界株式に分散させることで、全体のパフォーマンスに与える影響が緩和され、大きな損失を回避することができます。
個別株式投資は高いリターンを狙える一方で、上記のようなリスクを含むため、注意深い分析とリスク管理が求められます。木下さんはご自身で管理し個別株式投資をしたいという意向はないとのことで、投資信託を活用し投資対象を分散させる方法が合っていると思います。
3.積立の効果を活用する
積立運用は、市場の変動に左右されずに定期的に購入するため、投資単価を平均化し、長期的なリスク分散が可能です。
また、市場の変動による心理的なストレスを軽減する効果があります。一度に大きな金額を投資する場合、市場の急落や上昇に対して感情的に影響を受けることがありますが、積立運用は定期的な投資なので、市場の短期的な変動に対して柔軟に対応できます。
4.ライフプランと照らし合わせる
複利効果を考えると、新NISAの年間最大投資額(成長投資枠とつみたて投資枠の合計)である360万円を5年間投資することが最短で1,800万円を使い切る方法となります。
その場合は毎月の積立金額が30万円ですので家計を圧迫する場合は無理をせず、個人のライフプランや目標に合わせて新NISAを活用することが大切です。
仮に木下さんが毎月10万円で積立投資を行うと15年後の50歳時点で新NISAの投資枠1,800万円を使い切ることになり、そこから65歳の年受給開始までの15年間を運用すると合計で30年間運用することでできます。
5%の年率利回りを想定すると、積立期間中の15年後には投資元本1800万円が2,684万円となり、さら15年間据え置きした場合は5,579万円となっています。
もちろん実際は市場の変動にさらされるので楽観視することは避けたほうがよいですが、できる限り短期間で新NISAを使い切り、その後の運用期間を取ることが複利効果と非課税効果を最大限に活用する方法といえます。
牧元 拓也
ファイナンシャルプランナー
株式会社日本金融教育センター
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