米国を本拠とする国際的なマーケティングリサーチカンパニー、J.D. パワー(ジェイ・ディー・パワー)より、北米航空会社の総合顧客満足度ランキングが発表されました。アフターコロナによって航空会社へはどのような影響があったのでしょうか? みていきます。
本調査のポイント
航空券の料金が主因で総合満足度は低下
総合満足度は791ポイント(1,000 ポイント満点)で、前年比7ポイントの低下となった。昨年調査の前年比―22ポイントに続き、2年連続で顧客満足度は低下した。今回調査の顧客満足度低下の最も大きな要因となったのは「料金」ファクターの低下であり、前年から17ポイント低下した。
ファースト/ビジネスクラス利用者には異なる傾向
業界全体の総合満足度は低下したが、ファースト/ビジネスクラス部門の乗客は明らかにいい顧客体験をしている。このセグメントの顧客満足度は、前年比で9ポイント上昇した。これは、コロナ後にファースト/ビジネスクラスでの多くのサービス再開に伴い、食事や飲料のスコアが上昇したことが一因となっている。
格安航空会社はピンチ
価格に敏感な乗客が、今年は安価な航空券を見つけることができなかったエコノミー/ベーシックエコノミークラス部門において、顧客満足度の低下が最も顕著であった。エコノミー/ベーシックエコノミークラス部門の「料金」ファクターに対する満足度は、前年から19ポイント低下した。
誰もが納得する1つの結果
今回調査において、全部門に共通して改善が見られた数少ないファクターのひとつが「機内サービス」のなかの「食事・飲料」で、前年から12ポイント上昇した。
J.D. パワー トラベル・インテリジェンス部門 部門長 マイケル・テイラーのコメント
「もし、航空会社が長期的に成功するための必要な指標がイールドマネジメント(収益最大化)だけなのであれば、今年は経済効率性が最高の状態で運営しているため、航空業界にとって素晴らしい年になるはずである。
しかし、顧客の視点に立てば、それは機内が混雑し、航空券は高く、フライトの空席が限られていることを意味する。これらの障害は、まだレジャー目的の旅行の需要に打撃を与えていないが、もしこの傾向が続けば、顧客は限界に達し、一部の航空会社のブランドにダメージを与える可能性がある」
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J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニー。企業の顧客満足度改善やパフォーマンス向上のソリューション提供のため、現在、北米、南米、アジアパシフィック、ヨーロッパでビジネスを展開している。
http://jdpower-japan.com
写真は、米J.D. パワー トラベル・インテリジェンス部門プラクティス・リーダーのマイケル・テイラー氏。
Michael Taylor is Practice Lead for Travel Intelligence at J.D. Power.
He is responsible for providing industry thought leadership and business improvement recommendations to the company’s clients in the airline, airport, and car rental segments. He works with airports around the world including JFK, Newark Liberty, La Guardia, Portland (OR), San Diego, Tokyo Narita and the Aeroports de Paris (Charles de Gaulle and Orly). Additionally, he develops insights on other airport topics such as concessions, services and security.
Mr. Taylor has also worked with nearly all major North American air carriers and major rental car companies to measure and manage customer satisfaction and loyalty.
Mr. Taylor founded and led the Travel Practice at J.D. Power from 1998 to 2004, and rejoined J.D. Power in 2017.
Previously he worked as a consultant to academic medical centers (M.D. Anderson and The Mayo Clinic) and oilfield service providers (Halliburton, Baker Hughes, and Schlumberger). Prior to that, he worked in television advertising research, where he analyzed and consulted on major advertising efforts for companies such as SmithKline Beecham, S.C. Johnson, Frito Lay and General Motors, focusing on “persuasion shift” and market share.
He began his career in the consumer packaged goods industry at companies such as Alberto-Culver, Ralston Purina, and Abbot Laboratories.
Mr. Taylor earned a bachelor’s degree with honors from Indiana University and a master’s degree in business administration from the University of Chicago.
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連載ランキングに見る顧客満足度~J.D. パワー顧客満足度調査より