100年に一度のグレートリセット
2022年10月から、いよいよ米国株の強気相場が復活してきた。
その背景はこれまで指摘してきた通り、米国のスーパー軍産複合体が本格的に動き始めることで、予算が実質“青天井”となるからにほかならない。実質的なファイナンスについては日本円とユーロ(EU諸国)にさせるわけで、そのためのドル高戦略もいよいよ佳境に入ろうとしている。
2022年7月13日、ユーロが対ドルで約20年ぶりにいわゆる「等価割れ」をしたように、ドル独歩高戦略は着実に進んでいる。目先のユーロ/ドルは0.95ドル、最終的には0.825ドルまで進行する可能性もある。
米国のファイナンスがある程度終わるまでは、ドル高戦略は変わらない。とにかく当面の約2年間は米国株の強気相場が続く。
ところが、いまは誰もそうは思っていないのだろう。
米国が戦争に実質加担しないという条件付きならば、筆者も弱気相場に賛同する。けれども、米国議会はゴーサインを出した。繰り返すが、米国の軍産複合体の裾野はとてつもなく広く、景気が刺激されないはずはない。
相場は、いちばん怖いところがいちばんおいしいところでもある。大局である太枠は変わらず上がる方向と見ているが、乱高下の激しい激動相場に突入することは避けようがない。
それでも最終的にはNYダウは暴騰していくと、筆者は見る。
したがって、上げの大相場では、肝を据えて大きなトレンドを読めた者のみが勝利することになろう。
上がっていっても、極めて難しい相場になる。NYダウが4万ドル近くになって「もう下がらない」「今回は違うのだ」とするコンセンサスに染まり始めたときから、皆が買いに殺到する。そしてNYダウが4万ドルになろうとするとき、楽観論がマーケット全体を覆い尽くしているはずである。
「米国株を買って持っていればいい。みんな儲かっているんだから」
いたるところで「TTID!(This Time Is Different!)」(今回の相場は違う!)の言葉が聞かれ、「まだまだこれからだ」「楽勝だ」「最初っから米国株を買っておけばよかった」と、幸福感が漂う状態に投資家たちは酔いしれる。
その時は遅かりし。「もうは未だなり、未だはもうなり」となると、筆者は見ている。
そのタイミングで下値から買い上げてきた連中が「ありがとさん」と史上最大の売りをぶつけてくる。今回のピーク時の出来高はとんでもない数字になること請け合いだ。
そしていよいよNYダウがこの100年に一度の「グレートリセット」なる世界大恐慌に突入する前の狂乱相場になったときには、トレンドは真逆となる。
「買えば上がる」「上がるから買う」状況のなかでの大転換である。
そうした暴風雨のなか、自己の欲望をコントロールすることは、よほどのことがない限り、至難の業であろう。