「バイデノミクス」の中心にある2つの産業政策
1.中・韓・台への半導体依存引き下げのための「CHIPS法」
バイデノミクスの中心が、2つの産業政策である。第1の半導体国内生産強化のためのCHIPS法(CHIPS and Science Act, 2022年8月成立)は中国、台湾、韓国への半導体供給依存を引き下げることを目的に、5年間で527億ドル(7.4兆円)の予算を投じ、米国での半導体関連生産企業に補助を与えるものである。
米国半導体工業会(SIA)は、40以上の半導体および関連工場の新増設プロジェクトにより、16州で合計約2,000億ドル(28兆円)の民間投資と約4万人の新規雇用が創出されると推計している。
2.中国のクリーンエネルギー優位をブロックする「IRA(インフレ抑制法)」
第2のIRA(インフレ抑制法Inflation Reduction Act, 2022年8月成立)は、2022~2031年度の10年間に、法人税増税(15%の最低税率導入)や処方箋薬価改革によるメディケア予算の削減などで7,370億ドルの歳入増を図り、3,690億ドル(52兆円) がクリーンエネルギー・安全保障関連産業に補助される。
そして差額の3,000億ドルで財政赤字削減を見込むものである。クリーン電力に対する税控除(1,603億ドル)、クリーン製造業に対する税控除(403億ドル)、クリーン建物に対する補助(453億ドル)、クリーン自動車に対する補助(155億ドル)、クリーン燃料に対する税控除(234億ドル)となっている。
武者 陵司
株式会社武者リサーチ
代表
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