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「勉強時間を増やす」のではなく「無駄な時間を減らす」
「長時間勉強するためには何をしたらいいの?」と、勉強時間を増やすためのコツが気になっている人も多いと思います。実は、長時間勉強できる人は特別に何かをしている訳ではありません。心がけるべきことはとても単純で「とにかく無駄なことに時間を使わない」だけです。
無駄な時間とは、スマホやテレビ、ゲーム、漫画に使う時間などのことです。
勉強時間がなかなか増えない…と悩んでいる人は、「勉強時間を増やそうとする」よりも「無駄な時間を減らす」ことを心がけてみてください。無駄な時間をなくすことで、自然と勉強時間は増えていきます。
無駄な時間を減らすためにやるべき2つのこと
先ほど、「勉強時間を増やす」のではなく「無駄な時間を減らす」ことが大切だと言いました。それでは、具体的にどのように考えればよいかをみていきましょう。
【STEP1】自分の時間の使い方を把握する
まずはじめに、「自分が何にどのくらいの時間を使っているのか」を知りましょう。ほとんどの人は、自分の時間の使い方について正確に把握できていないと思います。
その場合は、いつも通り生活し、自分は「何にどのくらい時間をかけているのか」をはかり、メモしてみてください。時間の使い方が正確にわかると、無駄な時間が想像以上に多いことに気がつくはずです。
特に、スマートフォンを見ている時間、ぼんやりとテレビを見ている時間は無意識に過ごしていることも多いです。このような時間は、積み重なると膨大な時間となります。
自分の時間の使い方をきちんと認識し、無駄な時間を見つけましょう。
【STEP2】無駄な時間の中で「なくす時間」を決める
次に、自分が整理した無駄な時間の中で、削る時間やなくす時間を決めましょう。この時にポイントとなるのは、できるだけ具体的に考えることです。
例えば「スマホをだらだら見ないようにする」といった漠然とした目標はおすすめしません。抽象的な目標はどうやって実行したらよいかわからず、行動に移しにくくなります。
「今はスマホを2時間見ているけれど、それを30分にしよう」というように、具体的な目標値を決めてしまうのがおすすめです。
勉強時間を増やすための工夫
①根性論ではなく、環境を変える
なくす時間を決めたら、次は実行です。いくら「無駄な時間を減らそう」と思っていても、行動が変わらなければ意味がありません。
行動を変えるためのコツは、「根性論で乗り切ろうとする」のではなく、「環境を変える」ことです。
「勉強中もついスマホが気になってしまう…」という受験生が、「スマホを絶対にみない!」と決心してもうまくいかないことが多いです。スマホが常に横にあり通知がよくくる状態では、誰だって簡単に心が揺らぎます。
スマホが横にある状態で勉強時間を増やす方法を考えるより、環境を工夫してみましょう。例えばこんな工夫です。
●スマホは電源をオフにする
●スマホは勉強する部屋に持ち込まない
●スマホは勉強が終わるまで家族に預かってもらう
わたし自身もいわゆる「誘惑に弱いタイプ」なので、勉強中、近くに余計なモノがあるとつい誘惑に負けてしまいます。
「勉強の邪魔になるものは近くに置かない」など、勉強をせざるを得ない環境をつくることで、自然と無駄な時間を減らすことができます。
②休憩時間の取り方を工夫する
受験生と話していると、「休憩時間を取るとなかなか勉強に戻れない…」という悩みもよく聞きます。
休憩する時に心がけるべきことは、「なかなかやめられないことはしない」ことです。スマホや漫画、ゲームなどはその最たる例だと思います。
休憩する時は、あらかじめ「〇分休憩する」と時間を決めておくのが効果的です。
決めた時間を守るためにも、時間がきてもついダラダラ続けてしまうことは避けた方がよいでしょう。気分転換になり、時間を守れるような休憩がベストと言えます。
例えば、散歩やジョギング、筋トレやストレッチというように身体を動かすのがよかったという卒業生もいました。無理に運動をする必要はなく、おやつを食べる、温かい飲みものを飲む等、自分に合った方法で大丈夫です。
③集中力は後からついてくる
「勉強時間を増やすと集中力が落ち、効率が下がる気がする」と思っておられる方も多いと思います。たしかに、普段あまり勉強していない人が急に長時間勉強すると「ぼーっとしてしまう」「集中できない」という状態になるかもしれません。
最初は長時間ずっと集中できていなくても大丈夫なので、しばらくその習慣を継続してみましょう。徐々に集中力がつき、勉強効率も改善されてくるはずです。そして、最終的には集中力をキープしたまま長時間勉強できるようになっていきます。
「量と質どちらが大切か」という2択で悩む声をよく聞きますが、実際のところ量と質はどちらも大切です。どちらも向上させるためには、まずは量を増やす方が簡単で、そもそも一定以上の量がなければ質を上げることはできません。
まずは無駄な時間を減らして勉強時間を増やし、長時間の勉強を習慣にすることから始めてみましょう。集中力は後から向上していきます。
積み重ねた勉強時間は自信に繋がる
勉強時間を積み重ねることは、成績を伸ばすために重要であるのはもちろんのこと、メンタル面においても重要です。
勉強時間を確保することで、「自分は勉強している」といい意味でプライドが生まれていきます。模試でうまくいかなかった時には悔しさを感じるようになり、なぜできなかったのかという分析を自然とするようになります。
模試を受けて「勉強していなかったからしょうがない」と言い訳をする人と、「勉強していたのにどうして点数に反映されなかったのか」と分析をする人では、その後の伸びに大きな差が生まれます。
また、医学部という難関を目指している受験生にとって、「自分は医学部に合格できるのだろうか…」という悩みはつきものです。
特に、受験が近づく秋頃になると、不安を感じ始める受験生が多いと感じます。この時、自分が積み重ねてきた勉強時間はメンタルに大きく影響します。
しっかりと勉強をしてきた受験生は、「合格できるかはわからないけど、やれるだけのことはやった」と前向きに切り替えることができます。
一方、勉強時間を十分に確保できなかった後ろめたさがあると、「あの時もっと勉強していたら…」と後悔し、さらに不安になったり自分を責めてしまったりします。
勉強時間を確保してきた人の強みは、「自分はこんなに勉強してきたんだ」という自信です。入試が近づいてきて不安になった時、試験本番に緊張でつぶれそうな時、この自信は何よりも大きな助けとなります。
【執筆】綿谷 もも
医学部医学科卒。数学が大の苦手で、高3の冬に受けた模試では偏差値39を取ってしまうほど。エースアカデミーで1年間浪人し、センター試験本番で90%以上を達成、関東の難関国立医学部、難関私立医学部に合格。
医学部入学後はエースアカデミーの医学生講師として6年間受験生を指導し300人以上の医学部合格に貢献。その経験をもとに、医学部在学中に書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』を執筆、出版。将来の夢は小児科医。アイドルと猫が好き。
【監修】高梨 裕介
医学部予備校エースアカデミー 塾長、医師
医師/大阪医科大学卒、初期研修修了後に創業。
中学受験経験(灘、東大寺、洛南、洛星中学に合格)。
自身の医学部受験の反省を活かし、350名以上の医学部合格者を指導。医学部合格のためのよりよい指導をより安く提供することを理念としてエースアカデミーを設立。
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